★3 | グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024/米) | 主人公の個人的怒りのベクトルがメスカル・双子の間で浮遊した挙げ句にデンゼルへと向かい何故か帝国大義の為とは何でやねんである。蔑ろにされたエモーションはサイやサメや大猿モドキの仮想史劇のギミックで粉飾される。血迷ったとしか思えない。 | [投票] |
★3 | KT(2002/日=韓国) | 三島に心酔し石原を引用する極右将校が必ずしもファナティックである必要はないとは思うが、無用に内省的に過ぎ敢えて史実に挿入する蓋然性が希薄。そして何より主権を蹂躙されても弱腰外交な日本の官・軍・民をこそポリティカルに撃って欲しかった。 | [投票] |
★4 | 雨の訪問者(1970/仏) | 服買うくらいしか生きる寄す処のない薄幸女が見舞われた災厄に見知らぬ男が現れて助けてくれるという、女性の白馬の王子様願望をドテかぼちゃ男が転倒させるが、予想外の身の熟しとダンディズムが価値観を再転倒させる。このブロンソンには男も惚れるぜ。 | [投票(1)] |
★4 | 悲情城市(1989/台湾) | 評価が決定的になった侯孝賢が己れの手法に絡め取られたような窮屈さを感じる。同じ構図で再三出てくる坂道のクドさや、いかにもオリエンタル情緒な立川直樹の過剰音楽のうざさ。『恋恋風塵』と相似とは言え4男絡みの挿話の詩情は素晴らしいのだが。 | [投票] |
★3 | 侍タイムスリッパー(2024/日) | 驚天動地の環境変化があっても人は生きていかねばならないし、どーのこーの言っても順応して生きていけるもんだという前向きな思想が安田淳一の生き様の根幹にあるのだろう。映画的に限りなくベタで垢抜けないにしてもその根っこは見る者を突き動かす。 | [投票] |
★4 | しんぼる(2009/日) | 納得のリアクション芝居が延々と続く小ネタ博覧会の密室劇と、大ネタのメキシコレスラー親爺話を錯綜させる構成の冴え。正直天才的とさえ思う。しかし、実践篇の途上から惑うのだ俺は。確信的なシャレやろ?と。万が一マジなら紙一重と俯くしかないんやけど。 | [投票] |
★4 | 自由の代償(1975/独) | 特筆すべきは語りの省略でファスビンダーが描きたいものに注力するに不要と見做されたのは偏見とかも等位なのだろう。搾取側の論理とそれに踊らされ貪り尽くされた男の純愛を冷徹に突き放し描いていく稀代のリアリスト。バルハウス撮影の膨よかさも。 | [投票(1)] |
★3 | グッド・バッド・ウィアード(2008/韓国) | レオーネ的な底浅情感に依拠した挙げ句に何物をも抽出し得なかった徒労感。ジウンは真面目過ぎるのだろう。離れてベタや過激やシュールに振れればいいものを。グダグダ展開の煮詰まりの果てには何故か『あずみ』が見えてきた。その程度かと思った。 | [投票] |
★5 | ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024/米) | ジョーカー完成への連結作の途を棄て馬脚を顕わすに直走る物語だが、ガガの期待に揺れるホアキンの煮え切らなさと拘置所・法廷に閉塞する舞台の抑圧を解き放つ為博奕を打って鮮やかに成功した。朗々と歌われるど真中ポップスにメンタリティは震撼。 | [投票(3)] |
★3 | インディ・ジョーンズ 最後の聖戦(1989/米) | インディの親爺がショーン・コネリーだなんて迎合的で意外性もくそもなくてんで面白くない。加えて1作目のオカルト趣向や2作目の密教的神秘といった見世物小屋的な搦手も無くなり、それなりに見せはするものの普通の大戦裏話になったのが物足りない。 | [投票] |
★4 | 八犬伝(2024/日) | 不義蔓延る世の実に対して正義の物語の虚が抗し得るかの命題は済し崩しの感があり、鶴屋南北との争論は馬琴の立ち位置を揺さぶる。造形の異形と史的な奥行きが加味され篇中傑出した出来。辛気臭い創作話も気の置けぬ内野北斎を適宜配することで風も通る。 | [投票] |
★3 | 菊次郎の夏(1999/日) | 極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。岸本加世子の役作りだけがプロっぽい。 | [投票] |
★3 | ランボー(1982/米) | 展開の単純さを押し破り表出する使い捨てられた者のエモーショナルな悲哀と怒り。アメリカ地方都市の保守反動な排他性はニューシネマの脈流と直結しスタローンの浪花節的泣きを孤高の高みに押し上げる。唯一の理解者の大佐が又世界との孤絶を弥増させる。 | [投票(3)] |
★4 | 越前竹人形(1963/日) | 若尾のドライな持ち味があり隠微な筋立ての被虐性が中和され頃合いになった。停滞する展開から一転し終盤のたたみかけの地獄の底まで転げ落ちて、挙句これで良かったのかもと強引に納得させるパワーが魅せる。宮川の撮影と鴈治郎のポイント起用。 | [投票] |
★3 | 十一人の賊軍(2024/日) | 予定調和の死に様と大義欠く情動とご都合主義の展開と安いCGと届かぬ殺陣に塗れて肝心の死んでも与したくない奴らに加担する侠気と護りたい女房への想いは雲散する。新発田藩軸の官軍・連合軍との鬩ぎ合いは笠原の政治力学を継承するダイナミズムだが。 | [投票] |
★2 | ポルノ時代劇 忘八武士道(1973/日) | 丹波が何に絶望し虚無的になったのかが明かされぬままに「忘八」という畜生道に墜ちていくのは、穿った見方をするならポルノで女の裸がありゃあよかろうという一種嘗めきったかの如き輝男の達観かも知れぬが、見てる方は正直たまりません。ムカつく。 | [投票] |
★4 | トラップ(2024/米) | 8万人が熱狂するコンサート会場とスタッフ・警察が行き交うバックヤードを縦横に往還する脱出劇という点でシャマラン映画の中でも見事に大構えな舞台設定だし、移動し続ける主人公を追うシーンの連鎖が躍動的。そして夫婦の対峙を覆う戦慄を伴う哀しみ。 | [投票] |
★3 | セブンデイズ(2007/韓国) | 端折り方が拙いので日限を切ったサスペンスは一向に機能しない。正直、前半は似非で気障な演出に相当に苛ついたが、終盤の2転3転と怒濤の「転」乱れ撃ちに快感神経が刺激され、その強引さに蹂躙された。好悪半ば。ユンジンは久々に見たがやっぱ良い。 | [投票] |
★2 | チャップリンの寄席見物(1915/米) | 高慢チキな偉ぶった金持ちや官憲とかがアルコール紳士のハチャメチャでギャフン言わせられるのではなく一般人が被害を被り不快である。その上に、1階席と2階席の2人の酔っ払いをチャップリンが2役で演じてW不快と念が入る。見事な2役なんだけど。 | [投票] |
★3 | 活きる(1994/香港=中国) | 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板な描写。とは言っても正直、子供絡みのエピソードには何度か泣かされる。 | [投票] |