コメンテータ
ランキング
HELP

disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4アウトロー(2012/米)ナルシシズムを異性との不自然な間合いの中で捕捉しようとする実証精神が、市井の人々との偶然の連帯の中に、観念的自由が具体化する瞬間を目撃する。自由をめぐる社会時評がナルシシズムに隷属することで無毒化されて抵抗なく受容できてしまうのである。 [review][投票(1)]
★4残菊物語(1939/日)名古屋での復帰でお徳が女難化している。お徳への未練が菊之助の復帰を拒むトレードオフが出来上がる。名古屋が事実上の結末であって、以降は消化試合になりかねないところを、お徳が邪魔をせぬかどうか、その女難化がサスペンス感をかえって高揚させている。 [review][投票(1)]
★4鮫肌男と桃尻女(1998/日)浅野忠信の徳操が我修院との関係を通じて高く引き上げられる。ギークとヤクザのマッチングをめぐる作者の羞恥が均斉の妙に達すれば、緩い連帯が何かの予兆となる。文系の意欲に負けてさじ加減を誤ると、便利すぎる我修院が関係者の尽力を台無しにする。[投票(1)]
★4エンゼル・ハート(1987/米)時代を構築するガジェットに不足しない都会からルイジアナに下り淀む時間。ミッキー・ロークの没価値的属性がエキゾチシズムの非時間に滞留し、目前の物体が思い込みで見えなくなる自閉症のような症状を追体験する。[投票]
★4SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者(2012/日)鬱積と浄化のサイクルを精緻に構築する審美感は、人間が互いに暴力を振るい合おうと試みて生に身を投じようとする際には、忖度の応酬となる。因果への固執は偶然への嫌悪に基づいていて、能力は捕捉されるという確信に充溢している。 [review][投票(1)]
★4検察側の罪人(2018/日)“清和会”的センスを嫌悪するキムタクの書斎が何よりも悪趣味な設えなのである。正義の相互嵌入的な営みに言及する筋であるから一見して納得できる意図だが、参禅を始めとするキムタクの悪趣味について、作者が果たして自覚的なのかどうか。 [review][投票(2)]
★4散り椿(2018/日)岡田准一のナルシシズムが西島秀俊の年季の入ったそれに包摂され無毒化され、ふたりのナル合戦に巻き込まれた奥田瑛二と池松壮亮の渋面を享しむゆとりが出てくる。 [review][投票(1)]
★3白い肌の異常な夜(1971/米)熟女の性欲と女の甲斐性。パラメーターの複雑さがペイジの造形を曖昧にしてサイコ化する筋が、イーストウッドの性欲の在処までも乱調させて不明瞭にする。彼の視点に受け手が定着できず、その被る恐怖が見えてこない。 [投票(1)]
★4大誘拐 Rainbow Kids(1991/日)正調の70年代型パニック映画に際した岡本喜八のリアリズムは水得た魚のようであるが、70年代に展開されて然るべき事柄が80年代後半の風俗を借りて描写されると、時代の吟味に気を取られる。 [review][投票]
★4ザ・ウォール(2017/米)国籍という属性の対比になれば共感は誘い難いから、ホワイトトラッシュとインテリの階級闘争に置き換わる。問われるのは自分の甲斐性であり、たとえガジェットの組み合わせが恣意的にすぎないとしても、階級を越えようとする尽力が没入の助けとなる。 [review][投票]
★4ライフ(2017/米)技術職というパーソナリティを極限にさらす実験は恐怖をなぜかフェティシズムすらをも内包した粘性の官能として叙述してしまう。 [review][投票(1)]
★4キツツキと雨(2011/日)基本は業界人の自慰であり役所広司はオカズに過ぎない。しかし、自慰の道具ゆえの惹かれ方の極端さが無骨の徳を謳う。その度量は婦人会の竹槍の件になると復辟する。演出に対する助監や技術職の叫びが轟くのである。 [review][投票(1)]
★4へレディタリー 継承(2018/米)トニ・コレットの被害妄想と思わせるから、降霊会以降、とつぜんオカルトが始まると格調が消失し、コリン・ステットソンの劇伴の物々しさも手伝い面白家族逆噴射というべき滑稽劇へ。 [review][投票(3)]
★3その街のこども 劇場版(2010/日)震災のトラウマが土建屋への卑賤視をもたらした。しかし、サトエリの肢体以外に筋を牽引するものがない話だが、津田寛治が性欲のお化けとして表象されるように、その賤々しさがサトエリの肢体の痛切さと関連しているのではないか。 [review][投票]
★4殺し屋1(2001/日=香港=韓国)菅田俊のアイドル映画でないか。定型サイコの浅野忠信よりも、この苦難を消化する菅田俊の方がよほどアレではないかと。彼が受け手の常識を担うほどに益々、常識から外れていく。この認知の不協和はたとえば、電話口での不明瞭な口舌として露見する。 [review][投票(1)]
★4つぐない(2007/英)マカヴォイの堺雅人状のサイコパス顔にナイトレイの受け口が咬み合うと、慄くような艶冶になる。これはかみ合わせの映画であって、達観しがちなマカヴォイには憐憫の余地が少なく、切実さは心象ではなく地勢に託され、男はダンケルクの立体的な浜をさまよう。 [review][投票(1)]
★4エデンの東(1955/米)マッセイとダヴァロスの顛末だけを見れば、無能が滅びたとしか言いようがなくなる。もっとも、マッセイの無能さを薄めるために、レタス冷凍ネタがあるのだが。その彼が最後にやってしまうのがディーンの可能性を遮断することで後味が悪い。 [review][投票(2)]
★4百円の恋(2014/日)改変の来歴を表現しない肉体がそれでもなお喚情的だとすれば、いかなる構造がそこに介在したのか。会長重松収の、安藤の進捗とは逆行する炭水化物嗜好と肉の起伏を遮蔽するコンビニ制服の包括性の編成した和声の構造が瞬間の連続を流出として錯視させる。 [投票]
★4WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜(2014/日)この強烈な未来傾斜原理の物語は死後の地上の実感を信仰として捉えている。しかし、無辺際という染谷将太の徳が霊媒となったとき、それは下心をも宰領し、誇示なき自己展示へと発展してまさみを惹いたのではなかったか。 [投票(1)]
★4さびしんぼう(1985/日)尾美としのり一派のコメディーリリーフが本編を侵食する恐ろしい冗長。藤田弓子が前触れなく焦点となるあまりにもカジュアルな近親相姦。これらの禍々しさが女子高生モードの富田靖子を引き立てるとき、可愛さという痛切が時間と関連することを知らされる。 [review][投票(3)]