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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★3新しき世界(2013/韓国)地位が人を作る機制を信用し過ぎていて、力の裏付けが実感しがたい。が、このマンガらしい現実腐食は、時間が進むと、受け手の感性を摩耗させ、実効性のある記号の呼び水ともなる。形式が人を重厚にする現象が最後には成立している。[投票]
★3フューリー(2014/米)語り手自身が混乱していると思う。米兵の捕虜殺しを描画してリベラルを装うと思えば、SSは人間じゃないから殺しても可と人権の留保が来る。歩戦協働を教典の引き写しのような厳密さで描いたかと思えば、最後はマンガになる。 [review][投票(2)]
★4悪いやつら(2012/韓国)のび太やスネ夫は、ジャアニズムという蛮性の世界から逃れるべく、才覚と機転で階層を上昇するが、そのたびに、ジャイアニズムはより巧妙に変成されて、われわれの前に立ちはだかり、のび太やスネ夫であることの意味を突きつけるのである。[投票]
★3ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013/米)話の伝えたいことは、売人のジョン・バーンサルの言動がすべてで、レオはその価値観を担うために、あえて空疎に構成されている。 [review][投票]
★4インターステラー(2014/米)本作のロマネスクには、『インセプション』のレオ夫妻の悲嘆がそうであるように、中身を伴わない記号である印象を受けてしまう。危機を知りながら、親父を執拗に攻めるジェシカ・チャステインのわからなさが最初のつまずきで、 [review][投票(2)]
★3清須会議(2013/日)語り手としては、自分の辛辣な本性と向かい合いたくはない。ところが、その辛辣さこそ、この話の興業性を担うものに他ならない。無能というものを不快な事象として描くとき、この話は異様な光彩を放つのである。[投票]
★4グランド・ブダペスト・ホテル(2013/英=独)ユダヤ人が存在しない架空性によって、30年代を舞台にしながら、戦乱がWWIIではなく、むしろそこにWWIが混入するような眩惑が生じている。かかる人工甘味料な風合いは、稠密な美術とのこの上ない相性となる一方で、下敷きにしたツヴァイクの文明的喪失感は希薄化されている。 [review][投票(3)]
★3パシフィック・リム(2013/米)この隊長の源氏物語には、トロの欲望亢進に構造的障害をもたらしている。トロの邪念は、芦田愛菜に鬼気迫る演技をもたらす一方、凛子にはまるで火がつかない。 [review][投票(3)]
★3日本の黒幕(1979/日)降旗にとっては苦手な題材で、もはやネタと割り切って見てしまった。そんな中にあって、田村正和と田中邦衛だけは相性が良かったらしく、ノリノリに撮られている。二人の役者としての資質が近いことがそれでわかってしまう。 [review][投票(1)]
★3許されざる者(2013/日)柳楽優弥の、いかにも邦画然とした狂躁感が、後半、罪悪感の表現に至って、原作を超える感傷をもたらしている。おそらく、彼に対するわれわれの不快が贖われた、という浄化もあるのだろう。 [review][投票]
★3真夏の方程式(2013/日)これは前作と違って、事件の解明と人生の課題の暴露が十分に連携できていない。全容解明後、前田吟の人生の物語が始まるが、本編から独立した話に見えてしまい、吟の小物性が暴露されただけで終わっているように感ぜられた。 [review][投票]
★3ローマでアモーレ(2012/米=伊=スペイン)語り手の攻撃性が露呈していて、それがこの訓話を訓話じみて見せてしまうと思う。 [review][投票]
★4恋のロンドン狂騒曲(2010/米=スペイン)キャラクターの抱える課題が、当人のネガティブな性質に去来するならば、課題は効果的に発現する。 [review][投票(1)]
★3忍びの者(1962/日)事件を動かしているのはあくまで雄之助で、雷蔵は状況に翻弄される。それをいいことに、雄之助はおふざけが過ぎ、加藤嘉ら脇役組と藤村志保の汎モンゴロイド顔が物語を型にはめる。[投票(1)]
★3ローリング・サンダー(1977/米)殴り込みにトミー・リーを巻き込むことへ呵責が存在しないことの好ましさ。あるいは、Let's clean upの呼び声に反応するその挙措の昂奮。これは何か? かつての訓練によって習慣化した徳性が倫理を圧し殺した時、彼らは逆説的に自由という現象を体験しているのだ。[投票(2)]
★3白熱(1973/米)一生、南部の田舎で密造バーボンを配達するという諦念。つまり、生活があるということの恐ろしさが把握されると、復讐は生活感の中に埋没し、話は絶望的な参与観察へと変貌を遂げる。[投票]
★3愛と哀しみのボレロ(1981/仏)フランス語圏の受け手以外を想定しないような、ドメスティックな感傷に依存した話に見える。作りの計算高さは、美術に好ましい効果を及ぼしているが、同時に、箱庭感によって感傷が閉塞して、普遍性に至り得ないのではないか。[投票(1)]
★4デルス・ウザーラ(1975/露)尻尾を振る子犬のような「かぴた〜ん」の媚声をうれし恥ずかしく享しめるのは、政治的な正しさから無縁だからだろう。危機の創造と展開にあたっては、有無も言わせず事象を受容させるような、純化した技術論の迫力がある。[投票(1)]
★3クンドゥン(1997/米)作り込むほど、エスニックツーリズムな胡散臭さが現れるのは、作り物ゆえに当たり前だが、不可解なのは、その作り物の最たる毛沢東の額には、存在一般の持つ確からしさに圧倒されてしまう。 [review][投票]
★3ザ・ドライバー(1978/米)寡黙なアジャーニという、好ましくも嘘くさい造形性が、後になって、その好ましさを温存しつつ、少し乱される所がよかった。追走する車内で、躯幹を侵食する慣性のざわめきが、女を少女の顔にするのだ。[投票]