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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4ハンターキラー 潜航せよ(2018/英=中国=米)人を意地の発動へ追い込む段取りがある。主人が寄せてくる情が義理の負債を負わせる。何としても信用に応えたい切迫は同業の連帯感と混線しながら仮想敵に感化を及ぼす。それぞれの現場で培われる義理の網の目は合成され権力の正統性に力の裏付けを与える。 [review][投票(1)]
★3ウォーターボーイズ(2001/日)観念的には青春の消化不良によって状況に追い込まれていく。チケットと‟合宿”という先約された物理的要件は観念を下支えするにとどまらず、手段と目的が逆転するほど段取りにのめり込む。追い込まれる状況の定義に誤誘導があり、 [review][投票(1)]
★3モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021/伊)ひとつの台詞を消化するのに3名の話者と6つのカットを費やす早漏編集の有様である。素材の量に気圧された操状態が、多様な形をしたオッサンの頭部を譜面のように流していき、モリコーネの薄いキャラクターがその洪水に埋没する。 [review][投票]
★4君たちはどう生きるか(2023/日)同じ話をやるにしても、シアマの『秘密の森の、その向こう』が母の不穏に筋を運ばせるのに対して、こちらはわからなさが性欲の契機となる。少女の昂ぶりがわからない。好意の理屈のなさから作者の性癖が演繹されると筋はボンヤリとした官能に運ばれてしまう。 [review][投票]
★3ある男(2021/日)安藤サクラと比較すれば窪田正孝の負い目は薄くなる。自分の決断が招いた災厄だから安藤の自責には根拠がある。窪田の境遇に自身の責任はなく、しかも不利益は内面にとどまり社会化が乏しい。負い目の社会化は妻夫木聡を通して代理的に発現するに過ぎない [review][投票(1)]
★4ザ・バンク 堕ちた巨像(2009/米=独=英)全編に渡り放心するナオミ・ワッツの顔は、当人の感情を遮蔽するにとどまらず、オッサンたちが眉間に皺寄せ量産する人生の苦衷を真空ポンプのごとく吸い尽くす。が、彼女が退出して感情の遠心作用が消失すると、解放された男たちは取調室で哲学談義を始める [review][投票]
★3ベネデッタ(2021/仏=オランダ=ベルギー)天然の信憑性を問う方策が格調につながらない。演出家の形而下的興味は時代劇を軽くして、格調をもたらすべき意図の曖昧さは、狂信と性欲が互換する性急さを悪目立ちさせる。 [review][投票]
★4ヴァイブレータ(2003/日)顔だけを見ていれば、寺島の乱脈に大森は引いている。実際は彼の表情は感情に対応していない。能面のように受け手の心象を反映するにすぎない。 [review][投票(3)]
★3ワイルド・スピード スーパーコンボ(2019/米)不可能がない裁量的技術至上主義は不安をいかに知覚するのか。サイズが三者三様のヒゲに覆われた卵たちが、慣性力によって車中を縦横し女の下肢に巻きつかれ宙づりとなる。 [review][投票(1)]
★4イニシェリン島の精霊(2022/英)コリン・ファレルを沈思させれば、文法上は彼の主観に入ったことになり、境界知能に自省が生じたと思わせる。しかし直後の行動で、男は学習を拒絶し自らの自意識の欠落を表明し、受け手との視点の同期は誤解だったと判明させる。 [review][投票(1)]
★4存在のない子供たち(2018/レバノン=仏)器質的な叙法を用いる啓蒙的態度にとってはその結婚があり得ないために、店主と妹をやや知的に問題のある枠に入れる。機能性を基準に人を描き分ける感性は保証人詐欺での人の変容を愉快に捕捉し、生体そのものである赤子への肉薄は虐待かと見紛うばかりだ [review][投票]
★4Wの悲劇(1984/日)最初にあるのは科を作る猟奇じみた幼児体へのおののきである。泥酔の件から幼児体型は天然と結託しアイドル映画の畏怖をもたらす。 [review][投票(2)]
★3ホテル・ムンバイ(2018/米=インド=豪)地元ポリスコンビを漫才にしてしまうアジア的叙法と銃殺の現場を生態的に捕捉する距離感。相矛盾する感覚の通底にあると思われる通俗趣味は、筋に方向性を与えない代わりにその可動域を広くして次々とギミックを展開する。 [review][投票(1)]
★3女囚701号 さそり(1972/日)冒頭の川辺と経血に独房の漏水。これは本来タルコフスキーに近い代物と思われるが、東映東京というシステムは怪奇のフォーマットで対応する以外に術を知らない。 [review][投票(2)]
★3崖上のスパイ(2021/中国)目的は明示される。手段がほぼ全編にわたり不明である。この前衛的な構成によって劇中人物たちは手持ち無沙汰に陥り、マンガのような洋館で食って寝るだけの喜劇をやり始める。リウ・ハオツンも場違いの感が甚だしい。 [review][投票(1)]
★3肉体の門(1988/日)五社演出がノリノリになって怪奇に走ろうとすれば、爆弾が立ちはだかり交通整理して筋の体裁がかろうじて保たれる。情念はウェス・アンダーソンのような箱庭の新宿に押し込められ、五社英雄アトラクションという誰も得をしない奇怪な外観となる。 [review][投票]
★4クリード 炎の宿敵(2018/米)劇中で幾度か指摘されるように、ドラゴ親子の恨み節を越える動機を提示できるどころか、逆に彼らの動機を強化してしまう結末でしかない。ジョーダンの方は去勢された男の顔が様になりすぎて、試合終盤ではその負け犬感がドラゴ組の悔しさと混然一体となる。 [review][投票(1)]
★3レジェンド&バタフライ(2023/日)綾瀬はるかから光秀にマスターマインドが交代してキムタクがトラブったのであるが、この機序に意識的ではない作者はむしろトラブルを恋愛の手段と見なすあまり、キムタクの闇落ちには段階を踏ませずとつぜん人が変わる。 [review][投票(2)]
★4ケイコ 目を澄ませて(2022/日)ドキュメンタリーの叙法から突出せずにはいられない異様な愛苦しさを担保するのは、底の見えない岸井ゆきのの内面である。それは自意識のない子どもや動物の痛ましさに類するゆえに、浄化の前提となるストレスの感応をわかりにくくする。 [review][投票(2)]
★3赤西蠣太(1936/日)天然ゆえにリミッターの外れた男に出来ないことはなく、内面を持たないために間者にはうってつけだが、話は人を叙述する営みだから無内面には耐え難く、原田甲斐という形で千恵蔵を分離して、ガチガチに作為的な旧劇の芝居をやらせる。 [review][投票]