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[コメント] アバウト・シュミット(2002/米)

アグレッシブなマルキ親父…の筈のニコルソンの眼が今回は冒頭から死んでいる。ラストに至るまで、そこに真に満ち足りた表情は浮かばなかったし、老いのかなしみは情け容赦なく彼を襲い続ける。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ロードムービーかと思っていたが、実際クルマを走らせている距離は実は左程長くはない。その間彼を見舞うのは「現実社会において彼は不要だ」という無慈悲な宣告だ。

会社の部下は自分を頼ってはくれないし、妻は死んでしまい、娘は気にくわない男と結婚するという。それゆえの淋しさからの旅であるが、友人になりかけていた夫婦の妻のほうから、彼の底知れぬ孤独を見抜かれ、それを愛と勘違いしたニコルソンの求愛を夫人はこっぴどく撥ね付ける。それ以外にも、この旅は人生とのさよならの旅とでも言えるくらい、彼が失ったものは大きすぎる。娘の結婚を心ならずも祝福してしまえるくらいに…。

そんな彼が、同じ星の上に住むまだ文字も書けない子供に、ともに手を携えあうニコルソンと自分の絵を贈られ、堰を切ったように涙する。それは些細なことではあるが、ただひとつこの星の上に彼が生きていいことを示す証書である。それと同時に、一生逢って抱擁しあう機会がないかもしれない「ひとり」の少年だけしか彼を欲してくれない淋しさの具現化でもある。残るのはどうしようもない、かなしさだ。

(評価:★4)

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