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[コメント] ガメラ2 レギオン襲来(1996/日)

叶えられた夢と、尽きてしまった欲求。これが究極にして最後の怪獣映画。
kiona

 怪獣と自衛隊の攻防がリアリズムのシミュレーションにより徹底的に描かれた作品が見たい! それができれば、怪獣映画は凄い映画になる・・・この大方の怪獣映画ファンの野望にして理想は、金子修介と伊藤和典によって最高の形で叶えられてしまった。叶えられたことで、もはや怪獣映画が作られる必然性がなくなってしまった。

 この一本により、怪獣映画はもはや過去から続いているレールの終着駅に来てしまったのだ。この映画の先にレールはなく、可能性がまだ残されているのかもおぼつかない。それでも怪獣は望まれ続ける。ガメラも、それ以上にゴジラも今なお駆り出される。

 この映画は最高の怪獣映画だ。だが、怪獣映画に過ぎない。そもそも、かつて怪獣映画が怪獣映画でなかったことは、初代ゴジラただ一回だけである。もちろん自分は、怪獣映画は他のどんなジャンルにも負けないと誇りに思い愛している。けれどもその可能性は、この映画で尽きてしまった。だとしたら、怪獣映画は怪獣映画ではない、映画としてのアイデンティティを模索しなければならない・・・そのことにいち早く気づいていたのが、やはり金子修介だったと思う。この後のG3と大怪獣総攻撃は、ファンの熱狂の中で霞んでしまっている、怪獣映画としての苦悩の結晶なのだと、自分には見える。

(評価:★5)

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