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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★3薄氷の殺人(2014/中国=香港)日常の実と虚の比重を逆転させる経年トンネル。観客に目撃者であることを強いる銃撃戦。男と女の関係が最も密着する観覧車内の不安定な浮遊感。中国映画らしからぬタッチは素直に新鮮だが、ジャンル映画の域を突き抜けないのは中国らしさ不足のせいという矛盾。[投票(2)]
★4さよなら歌舞伎町(2014/日)規則や付き合いに縛られた日々、本音だけで過ごせればどんなに楽だろうと人は夢想する。しかし、皆が本音むき出し対峙する関係など、いたく居心地が悪いに違いない。思わず露呈した本音が吹き溜まり、摩擦熱を発し、触媒となって変化を生む異空間、ラブホテル。 [review][投票(2)]
★5サウンド・オブ・ミュージック(1965/米)宗教的な安寧に納まりきらないマリア(ジェリー・アンドリュース)は、福音を携えた使者として家族をカタチ作る核となり困難な現実を生きる意義を伝導する。奇跡的完成度の楽曲群と、お遊戯レベルの舞踏が生み出す近親感が老若男女を選ばず賞賛を呼ぶ映画史的傑作。[投票(2)]
★4自由が丘で(2014/韓国)物語の時系列を分断しピースをランダムに提示することで、ただ停滞しているだけの日常がドラマとして動き出す。「時間」に実態などないということ。主人公は読んでいる本の要旨を尋ねられそう答える。それを映画で実践してみせる粋なホン・サンスマジック。[投票(2)]
★4白痴(1951/日)清心と欲望の境界が消え、思いやりと疑心がせめぎ合う。森の目はブラックホールのように三船の嫉妬を飲み込み、「睨み」と「そらし」が交錯する原と久我の対峙は文字通り(ストーブの)炎となって炸裂する。人の業が発散するエネルギーを「目」に凝縮させる力技。[投票(2)]
★3赤ひげ(1965/日)逸話がどれもヒューマニズムを説かんが為のカタチありきで、凝りに凝った細部の演出が逆に、上辺のボロ隠し的な過剰装飾にみえてしまい、臭い。「保本(加山)、お前必ず後悔するぞ」の、赤ひげの一言に黒澤が決して現実を甘くみていないことは理解できるのだが。[投票(2)]
★4お引越し(1993/日)セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子は赤いハイヒールを履いて「少女」に別れを告げた。レンコ(田畑智子)は、船を赤々と焼き尽くす送り火とともに家族を葬送し、「少女」という未来へ続く道程の入口に立つ。未熟者を慈しむ相米の視線はいつも温かい。[投票(2)]
★3グラディエーター(2000/米)「腕力だのみのマキシマス」対「愛してちょうだい息子コモドゥス」の精神的対立の構図が埋没してしまい、主人公の怒りや苦悩が拡散されて悲哀やカタルシスが生まれない。ありがちな復讐譚を、ヒロイズムとCGで無理やり膨らませた水ぶくれ映画に見えてしまう。[投票(2)]
★3渇き。(2014/日)役所広司が「らしい」芝居をすればするほど中島哲也の「らしさ」がかき消される。中島「らしさ」とは映像技術と楽曲を駆使して、非日常的な祝祭性で物語をデコレートしまう技のこと。ミステリもアクションも生煮えで異次元へワープせず映画的な興奮なし。[投票(2)]
★3グランド・ブダペスト・ホテル(2013/英=独)箱庭で人形たちが動き回っているような、相変わらずのウェス・アンダーソンのキッチュな造形と画作りで、スクリーンから目を放すこができない軽快さ。磨きのかかった作りもの感がファンタジー性を高めるが、その軽さが主題の歴史感にマッチしているかは微妙。[投票(2)]
★4罪の手ざわり(2013/中国=日)誤解を恐れずに書けば、持たぬ者や、虐げられた者にとって、暴力は最後に残された自己救済のための武器である。ただし、それは自爆による現状破壊でしかなく、負としての救いしかもたらさない。それでも、その隘路を歩まざるを得なかった者たちの話である。 [review][投票(2)]
★3雨あがる(1999/日)勿論、黒澤へのオマージュはかまわないのだが、監督デビューとしての小泉堯史の矜持はどこにあるのだろうか。巨匠の演出を巧みにトレースしたところで本家に敵うはずもなく、登場人物がみんな躍動せず、こじんまりとしているのは物真似ゆえの萎縮ともとれる。[投票(2)]
★5ドクトル・ジバゴ(1965/米=伊)重厚ではなく洒脱。余分な湿度を排除して、気品すら漂う折り目正しいデヴィッド・リーンの語り口が、メロドラマが陥りやすい「過剰な思い入れ」という凡庸さを、さらりと回避する妙。モーリス・ジャールの楽曲とフレディ・A・ヤングの撮影も至福。[投票(2)]
★3スカーフェイス(1983/米)イタリアンマフィアには社会に根をはるための連帯という横志向があった。なかば国家から放出されるように棄民として、80年代の経済大国になだれ込んだ遅れてきたクズ野郎は、コンプレックスの赴くまま戦略なき上昇を続ける。力尽きたとき終焉するのが縦志向の定め。[投票(2)]
★3カリートの道(1993/米)バハマの陽光とリズミカルな音楽と軽快なダンスが、その陽性に反して漂わせる寂寥感。すべての闇の悪事は、このラストショットの為に段取りされ物語られていたという周到なデ・パルマのたくらみを、見事な手練とみるか、あざとい業だと思うかが評価の分かれ道。[投票(2)]
★3WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜(2014/日)予定通りの話が破綻なく進行されるなかにあって、伊藤英明の忠犬のような(頭が空っぽ)猛ダッシュは感動的だった。一方、作り手側が爆笑を仕掛けたつもりのクライマックスで映画館は静寂につつまれていた。矢口史靖は映画を撮るたびにフツウになっていく。[投票(2)]
★4恋の渦(2013/日)3つの部屋しか登場しないのに、140分間、テンションが下がらず実に騒がしい映画だ。見事に「こんな奴いるいる」的類型に描き分けられた若者たちの台詞と行動様式に説得力があるからだろう。大騒ぎの割に恋の顛末は意外と古典的なのは「恋は時代を超える」からか。 [review][投票(2)]
★4ゼンタイ(2013/日)どの逸話の登場人物たちも行動しない。行動するまえに手前勝手な、あるいは自己防衛的な理屈を並べたてるだけだ。ゼンタイたちは違う。彼らは姿を隠しながらも行動し連帯の可能性を探り確かめ合う。この両極の「あいだ」は、どこへいってしまったのだろうか。 [review][投票(2)]
★5楽隊のうさぎ(2013/日)心と体が、艶めかしくも清々しく変化する思春期の少年少女たちの息吹が、フィクションである成長物語に融合し、流れる時のなかで若い命が輝く。まるで生身の生が映画に宿っているかのようだ。「何も起きない」なかに物語を見い出す鈴木卓爾の観察眼の賜物。[投票(2)]
★3スノーピアサー(2013/韓国=米=仏=チェコ)破綻してしまった生態系(システム)を、無理に維持することで矛盾を温存するのではなく、力ずくの無為な努力や、高慢な驕りは捨て去り、生態系(システム)の原点に立ち戻ってやり直すことを厭うな。そこに未来は開けるのだ。そんなポン・ジュノのメッセージ。 [review][投票(2)]