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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4山猫(1963/伊)正統ヨーロピアン保守の戸惑いが公爵の茫漠とした表情に滲む。過去の秩序に学び必要最小限の“変化”を受け入れるのが保守の流儀であり矜持。だが時代の変化は想像を超えていた。彼も気づかぬうちに受け入れざるを得なかった“妥協”の代償はあまりに大きかった。 [投票(1)]
★3ドクトル・マブゼ(1922/独)冒頭の機密文書を奪取するアクション演出のスピード感。後半の謎の博士による催眠ショーのトリッキーなサスペンス。それ以外は同じような攻防を繰り返す長丁場。それでも厭きさせないのはさすがラングなのだが、やっぱり掴みどころのない間延び感はいなめない。 [review][投票(1)]
★4宇宙でいちばんあかるい屋根(2020/日)人生の長さをまだ知らない思春期の少女にとっての「悩み」は人生のすべてだが、老女にとっての「後悔」はあと少しだけ耐えれば自分とともにこの世から失せてしまうものだ。清原果耶の“今”のすべてと桃井かおりの“今まで”のすべての絶妙なアンサンブル。 [review][投票(4)]
★4暗黒街(1927/米)無法の闇。酒場の挑発。羽毛の舞い。乱痴気と嫉妬と銃撃。塀の内と外。細部に渡って計算されたアクションは、悪漢ブル(雄牛)の奔放と人なつこさ、弁護士ロールス(品位)の自尊と忠義、情婦フェザース(羽毛)の華やぎと純愛の“危うい均衡”の醸成へと収斂する。 [review][投票(1)]
★4人生の乞食(1928/米)男装のルイーズ・ブルックス(『港々に女あり』のあの小悪魔!)が可愛い。藁山の一夜のチャーミングなこと。不幸からの脱出。出会いと放浪。権力と無力。周囲の烏合化。愛の力と改心。と、目前に迫ったハリウッド黄金期のラブ&アクションの“定番化”の予感。 [review][投票(1)]
★4最後の人(1924/独)ホテルの回転扉の外は大粒の雨。客を乗せた車が止まる。ビルの夜景も豪雨に霞む。巨漢のベテランポーターがびしょ濡れになりながら巨大な荷物を易々と担ぎ屋内へ。濡れて黒光りするレインコートを脱ぐと格式高そうな制服姿に。エミール・ヤニングスのどや顔。 [review][投票(1)]
★2人数の町(2019/日)SFとしての驚きが皆無の脚本に凡庸な演出が輪をかけてサスペンス感ゼロ。挿入される世情データの間の悪さ(読めない!)が理屈(言い訳)の残滓となって劇映画としての感度を下げる。俊英の撮影監督四宮秀俊らしからぬ散漫で意図不明の画面造詣はどうしたことか! [review][投票]
★5サンライズ(1927/米)都会女の闇夜の誘惑。ためらいの湖上の洗脳殺人。風景がうねる田園列車の車窓。大都会の圧倒的物量と喧騒。都市的画一化の象徴である床屋。互いの「個」をとり戻す教会と写真館。集団の中の「ふたり」を確立する遊園地の束の間の享楽の解放。暴風雨と村人総出の捜索。 [review][投票(3)]
★4結婚哲学(1924/米)入れ代わり立ち代る女と男たちによって二転三転する「事実」と「誤解」を推進力に話を転がすお馴染みのルビッチの妙。冒頭に登場(穴あき靴下!)して“てんやわんや”を尻目に実利を得る裏ストーリーの主役・教授(A・マンジュウ)の地味な復讐譚だったりもして。 [review][投票(1)]
★4雀(1926/米)メアリー・ピックフォード演じる少女に聖母マリアを重ねて信仰心の大切さを説いた子供から大人まで楽しめるファミリー向けアドベンチャーなのだろう。物語の展開、人物の個性と挙動、カット割りと編集。どれをとっても“分かりやすさ第一”の演出見本のようだ。 [review][投票]
★3牡蠣の王女(1919/独)失礼ながら“こんなナンセンス喜劇”に注ぎ込まれた人員の多さとセットの豪華さに驚く。オッシー嬢の弾けっぷりも凄いが、金満に麻痺し何もせず寝てばかりいる成金ヴィクトル・ヤンゾンのふんぞり返った「裸の王様」のような威容が醜く滑稽で、不気味でもある。 [review][投票]
★3その手に触れるまで(2019/ベルギー=仏)ぴたりと少年に寄り添い視線を外さない手持ちカメラ映像が続く。もうこれしかないという“思い込み”の盲進から、彼の真摯さと切実さがひしひしと伝わってくる。偏狭な大人の犠牲者である彼の、すべての大人へ向けた検討違いな復讐を、私は支持すらし始めていた。 [review][投票]
★5裁かるるジャンヌ(1928/仏)人は顔で詰問し、論争し、さとす。あるいは顔で疑い、企み、脅す。そして顔で抗い、嘆き、悲嘆する。その一方、人は全身に怒りを満たし、爆発させ、破壊し、価値を見出し、獲得し、護る。そんな感情の発露を「静的な動」と「動的な動」のみで描いたミニマム映画。 [review][投票(2)]
★4都会の女(1930/米)シカゴの過密(客がごった返す食堂)と孤独(窓のそばを電車が通る部屋)から、広大なミネソタの麦畑で新生活への希望がはち切れる爽快な移動撮影へと至る開放の妙。さらに、封建に耐える気丈な新妻を追い詰める野卑な男の欲望とシンクロする嵐の前の一夜の不穏。 [review][投票(1)]
★3雲の上(2003/日)その“土地”と癒着し形骸化した宗教と、かつて神仏への畏れと崇められた神話の残滓。そんな中上健次的な呪縛にからめとられる者たちの閉塞が富田克也の原点だったことを確認。本能的に、短絡的に、それに抗う馬鹿を鷹野毅が好演。いい役者だなあと思う。 [review][投票]
★4はりぼて(2020/日)酒が好きなもので遊ぶ金が欲しかった。いや、だって、みんなやってるし。あの人から言われたら断れない。不正の証拠を突きつけられ、ぐうの音も出ずしょげ返る(あえて書きますが)田舎議員たちの滑稽を、間違っても“人間臭くて憎めない”などと許してはいけない。 [review][投票]
★3熱砂の秘密(1943/米)いち英国軍人(フランチョット・トーン)のヒロイックなサスペンス&純愛ものの体裁を借りながら、物語を通底するのはフランスを見捨てた「ダンケルクの戦い」におけるイギリス軍撤退の贖罪と鎮魂。アン・バクスターに捧げられる砂漠の“日傘”が哀感を誘う。[投票(1)]
★4野ゆき山ゆき海べゆき(1986/日)朝、子供たちは魂を抜かれたように、互いに口もきかず整然と学校へ向かう。その異様さは、戦時下の全体主義教育の暗喩だろう。ところが、いったん大人の目を離れたとたん、たとえ大人の力ずくの支配という模倣から始まろうが、子供の思考は本能のままに飛翔する。 [review][投票]
★4ミュンヘンへの夜行列車(1940/英)二転三転する英独諜報員の化かし合いにユーモアが味を添え理屈を忘れて楽しめる。語りの推進力は脱走から船、列車、軍用車、ロープウェイと欧州ならではの国境越えの“移動”の妙。雪山の渓谷を渡る(なんと!)“木造”のゴンドラが目に焼き付いて脳裏を離れない。[投票]
★4恐怖省(1944/米)精神病医院を後にする犯罪歴のある気の好さそうな男。いささか押しつけがましい慈善イベントの胡散臭さ。巨大なケーキと盲目の老人と空襲と銃撃。場末の酔いどれ探偵のあっけなさ。明るく屈託のなさすぎる亡命兄妹。何かありそうでやっぱり、な貴婦人主催の降霊会。 [review][投票(1)]