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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★4ドライブイン蒲生(2014/日)暴走する制御不能な姉(黒川芽以)の鬱屈と、その苛立ちに微妙な距離で接し慕う弟(染谷将太)の姿が、何の気負いもなく写し撮られ映画の核を支える。役者を信じ、これみよがしな技巧や主張などカメラにさせないたむらまさきの手練が力演と呼応する佳作。[投票(1)]
★3今年の恋(1962/日)たとえお決まりの展開でも、いや先がみえみえだからこそ、ツボを押さえた職人的演出で、最後までニヤニヤ、ハラハラと楽しませるラブコメ。『お嬢さんに乾杯』(49)でもそうだが木下恵介の男女の鞘当ては上品で「やりすぎ感」がなく深刻にならないのが好い。 [review][投票(1)]
★3暗黒街の顔役(1932/米)野心、暴走、栄光、家族愛、悔悟、立てこもり、転落。後年、作られるあまたの成り上がりギャング映画のエッセンスの原型がすべてここにある。意気揚々のトニー(ポール・ムニ)が見せる子供のような笑顔が印象的で、最後まで憎めない悪党の末路に哀愁がよぎる。[投票(1)]
★3ダゲレオタイプの女(2016/仏=ベルギー=日)愛することと拘束することの物語。人の想いを永遠に定着させる写真は、人の時間と動きを奪う「死」の代替物でもあるということ。写真家は娘や妻に永遠の「生」を与えるために時間と動きを奪い死者の態を強要する。そして、その行為は写真家自身の心をも拘束する。 [review][投票(1)]
★5アズミ・ハルコは行方不明(2016/日)ポジティブな逃避、あるいは限りなく緩い反逆。「消えちゃえば?」と、屈託なく愛菜(高畑充希)に言い放つハルコ(蒼井ゆう)は迷い人を悟りの世界に導く菩薩のようだ。大胆に交錯する時間軸が切り結ぶ先に浮かぶのは空疎で薄っぺらな男社会の規範と偏見。 [review][投票(1)]
★2The NET 網に囚われた男(2016/韓国)ボロをまとっていた漁師は拘束され丸裸にされて、南ではブランドロゴ入りのスエットを着せられ、北では糊の効いた真新しい人民服を着せられる。文字通り上からのお仕着せ。着たいものが着られないなら、いっそ丸裸のままの方が良い。それは「思想」も同じこと。 [review][投票(1)]
★5FORMA(2013/日)恣意を徹底排除することで「日常」に潜在するサスペンスを浮かび上がらせ、思いっきりの映画的力技でその「日常」を一気に解体し沈殿していた狂気をむき出しにする。強引な手口に好悪はあるかもしれないが、この無愛想な語り口の頑固さと、その才気に圧倒される。 [review][投票(1)]
★3湯を沸かすほどの熱い愛(2016/日)「別に逃げたっていいじゃないか」がモットーの不徳な私には、双葉(宮沢りえ)の「家族を超えた愛」の正統すぎる気迫は、いささかはた迷惑。死を前提にした意志の強要は反則技。まさか、この無差別な愛への信認の行きつく先が、世界平和の成就でもあるまいし。 [review][投票(1)]
★2何者(2016/日)言いたいことは分からなくはないが映画として面白くない。登場人物たちのキャラが類型的なうえ、肝心の各自の背景が言葉で語られるだけで、逸話が「画」として描かれないなので群像劇として膨らまず薄っぺら。結果、今さらな甘えとセンティメンタリズムが突出する。[投票(1)]
★4お父さんと伊藤さん(2016/日)無自覚に“お父さん”がたれ流す「甘え」も、それを引き受けきれない“娘”の後ろめたさもまた「甘え」。そんな人間どものどうしようもなさに、鉄槌一喝下される嵐の古民家シーンは圧巻。一瞬襟を正すも、すぐにウヤムヤに帰すのも「甘え」という人の優しさ。[投票(1)]
★4リザとキツネと恋する死者たち(2014/ハンガリー)なんとも楽しい、おちゃめな怪奇譚。幽霊やバーガーショップへの盲目的信頼は、共産主義下の見えざる圧制風刺なのだろうが、何で「日本」やねん!と突っ込みながらも、日本文化へのおたく的理解の正確さに舌を巻く。特にGSサウンド風の歌謡曲が耳からは離れない。[投票(1)]
★3徳川セックス禁止令 色情大名(1972/日)群衆シーンの迫力や丹精な屋内セットに、お色気映画とはいえ時代劇となると手を抜けない東映魂をみる。セックス礼賛にあたって鈴木則文がこだわるのは、嘘くさい性行為の小芝居ではなく女体そのものの美しさの提示。女優陣の裸体が、みな神々しく輝いている。 [review][投票(1)]
★4白熱(1949/米)冒頭の車と列車が織りなす強盗劇のダイナミズムで圧倒し、ジェームズ・キャグニー一家の異様さで魅了する導入の妙。トリック入獄、獄中騒動、トロイの木馬とサプライズの連打。対するは潜入捜査の人力と科学の技、電波網のコラボ。息つく暇なしとはこのこと。[投票(1)]
★3限りなき追跡(1953/米)途中からからむ先住民やメキシコ女も、いまひとつ効果的に機能せず「追跡劇」としては凡庸。ロック・ハドソンの前途に対するフィリップ・ケイリーの妬みと、古き南部への回帰願望にもう少し説得力があれば、むしろ「逃走劇」として深みが出たかもしれない。 [review][投票(1)]
★3郊遊<ピクニック>(2013/台湾=仏)執拗に我慢比べを挑まれても何の感慨も湧きません。愛憎まみえるキャベツ愛撫、復活を鼓舞する涙の古謡、骨付きチキンのむさぼり喰いと、結局リー・カンシェンの「芸」に行き着いてしまう。何もしていないように見せかけて、アレコレ仕組むあざとさがのぞく。 [review][投票(1)]
★4円卓 こっこ、ひと夏のイマジン(2014/日)人は好奇心と想像力で成長する。社会と自分の関係や立ち位置を築くための原動力が好奇心なら、社会のなかの自分と他者の距離関係を創るための必須が想像力。ややもすると大人でも、そのバランスを見失う。今の世の中、想像力を欠いた好奇心の暴走が蔓延している。 [review][投票(1)]
★4アンジェリカの微笑み(2010/ポルトガル=スペイン=仏=ブラジル)美しき死人に恋する青年の無心が、どこか滑稽に見えるのは「若さ」に対するオリヴェイラの冷やかしでもあり、嫉妬のようでもある。もしも後者なら、飄々とした語り口の末に突き放すような結末の冷淡さこそがホラー。サビーヌ・ランスランの夜景は今回も絶品。[投票(1)]
★3独裁者と小さな孫(2014/グルジア=仏=英=独)どうも腑におちない。独裁者もまた人なり、で良いのか。悪は悪だし、罪は罪だろう。寓話を語るまでもなく、現実に権利を奪われた民が苦境にあえいでいるのに。特権少年は何も知らずに、ただ踊っていればいいのか。世界中で子供の命が容赦なく奪われているのに。 [review][投票(1)]
★4ケンとカズ(2016/日)役者の面構えが好い。思いを飲み込んだように物言いたげなカトウシンスケの目。制御不能な苛立ちが炸裂する毎熊克哉の強面。露骨な上から目線を強いる高野春樹の半笑い。そんな男どもの「顔」の連打が物語の推進力となって、他の類似映画と一線を画す。 [review][投票(1)]
★4マン・ハント(1941/米)根底に流れるのはシリアスな反ナチ・サスペンス。人の出し入れの妙や明暗演出の格調。少年水夫や兄夫妻とのコメディ。ジョーン・ベネットとの純愛。そんな「要素」が、むき出しのままゴロゴロと綴られながらも不統一が気にならず、かえって不思議な味がある。[投票(1)]