[コメント] I am Sam アイ・アム・サム(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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これは、タイトル通りサムの視点から語られる物語だ。
最初のうちは、手持ちキャメラを多用した、揺れる画面が気になった。が、やがて気がついた。このキャメラワークは、サムの見た目なのではないか、と。
サムが証人として立った審理のシーンで、質問攻めにされたサムが追い詰められていくに従って、キャメラの動きも一段と激しくなる。サムの動揺を示しているのだ。
見ようによっては唐突とも思える(しかもそのシーンにあまりに合いすぎてベタな)ビートルズナンバーの挿入も、やはりサムの心の中に流れている曲を観客に聞かせているということなのだろう。
それが分かれば、この映画が誰の側に立って作られたものなのかも自ずと分かってくる。製作陣は「サムを描く」だけでなく「サムに語らせる」ことをも選んだのだ。ビートルズと映画(『クレイマー、クレイマー』などいくつもの映画が効果的に引用されていることにも注目したい)、そして社会的弱者への愛のなせることだろう。
この社会は、一見誰にでも平等に権利を保障している。サムのような社会的弱者にも仕事はあるし、ホームレスの女性でも病院で出産できる。生まれた子どもは里子に出せるよう世話してもらうこともできるのだ。そうしておけば幸せになれるというのが、この社会の言い分なのだ。ただ、実際サムとルーシーにとっての幸せは、社会が考える“幸せ”とは違っていたというだけの話だ。
それでは、社会が押し付けようとした“幸せ”には、いったい何が足りなかったのか?
愛だよ、愛。
Love is all you need.
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