呼び名が２つありますが全て薫で統一しています。

希和子：薫と過ごした日々。子供が産めない体の希和子にとって、訪れるはずのなかった4年間。彼女は精一杯薫に愛情を注ぎ、燃え尽きた（冒頭裁判シーンの無表情さが表している）。

薫：映画のラストより始まる（映画内で初めて心からの笑顔を見せる）。実の母や周囲の人間とうまくいかず、また、そうなった原因である希和子を憎んでいた。しかし自分が子を宿したことで、過去と対面し希和子の愛情を確認、薫の気持ちは自らの子供（＝未来）へと向かっていく。

希和子の「八日目」の終焉と、薫の「八日目」の幕開けをクライマックスに持ってきたアイディアが実に秀逸。両親や千草の「八日目」にも繋がっていきそうな、希望に溢れる素晴らしいラストだ。

総じて良くできてるとは思うし、目が熱くなる場面もあったがしかし最大級の感動までは至らなかった。やはり誘拐は罪だと心のどこかでブレーキをかけていたからだろうか。映画の描き方だと実の母親が可哀想すぎると思うんですよ。さらに言えば、女性たちが主役の本作にとって、私が男性であるというのも理解の妨げの一因になっていると思われる。褒めておきながら☆４にした理由です。

それにしても小池栄子はやっぱ怪優だなあ。役柄のせいもあるだろうけど、一人だけ他の俳優と演技リズムが違いすぎて登場した時笑っちゃったよ。作品にパワーがあるから何とか溶け込んでるけど。田中泯も端役とは思えぬ恐るべき存在感。男性陣で唯一気を吐いていた。