★5 | チェンジリング(2008/米) | シングルマザーでなおかつ電信電話という先端企業の女性主任であるアンジェリーナ・ジョリーは、その先進性ゆえに事件の矢面に立たされているかのように見える(雑談を追記しました)。 [review] | [投票(24)] |
★5 | グラン・トリノ(2008/米) | 決して完璧な映画ではないし、気になる粗もあるのだが、それなのにこれほどの豊かな余韻を得られたことが驚きだ。映画の何を知っていたのだろう、と実に新鮮な気持ちにさせてくれた新たなる傑作。(考察を追記しました。) [review] | [投票(22)] |
★5 | ノーカントリー(2007/米) | 最高に面白い。コーエン兄弟は社会派ではないから、アントン・シガーの行動原則にキリスト教的原罪意識を絡ませたりしない。生粋のストーリーテラーというわけでもないので、物語を収束させることも嫌う。 [review] | [投票(22)] |
★5 | デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米) | 女性キャストがみな素晴らしい。前半、延々と続く会話劇を見ていると、台詞というものが、ストーリーを進行させるためではなく、キャラクターに血肉を通わせるために機能していることに気付く。だからクライマックスのスタントシーンではガッツリ感情移入してしまった。 [review] | [投票(17)] |
★5 | アフタースクール(2008/日) | これが小説なら”このミス”級のベストセラーだが、この仕掛けのおもしろさは映像ならではのもの。芝居がいいが、舞台演劇では出せない空間描写と繊細な感情表現の演出もある。発想の源泉が純粋に映画的なのが嬉しい。この人肌の雰囲気は他のメディアでは出せないだろう。 [review] | [投票(12)] |
★5 | インビクタス 負けざる者たち(2009/米) | その巧さが指摘できないほど巧い。実話ベースの映画としては硫黄島はもとより「チェンジリング」よりも上だと思う。マンデラという人物、フリーマンという役者、それに「グラン・トリノ」でつけた落とし前が、イーストウッドを更に進化させた。観客の評価はこの映画の政治的志向性を反映するだろうが、この映画は政治的なものとして見られることをまったく恐れてはいない。それは映画の力ではないか?私はそのことに感動する。 [review] | [投票(11)] |
★5 | スター・トレック(2009/米) | JJの演出は期待通りだし、何より映画の内側と外側を貫く継承というテーマに涙が溢れて止まらなかった。これほど感動的なキャラクターの引継ぎというのはそうそうあるものではない。 [review] | [投票(9)] |
★5 | 4ヶ月、3週と2日(2007/ルーマニア) | ヘヴィで緊張感溢れる体験型スリラー。描かれるのはとても個人的で短い時間の出来事であるが、ヒロインを中心として再構成されるその世界には、普遍的な人間の歴史が横たわっている。 [review] | [投票(9)] |
★5 | 人のセックスを笑うな(2007/日) | すべてのシーン、すべてのカットが映画的緊張感に溢れている。固定・引き・長回しカメラが全体の大部分を占め、その中で人物の動きのおもしろさを引き出していく人間観察の妙はさらに進化している。古典的映画技法は的確かつ厳密に実践してこそ意味があるし、またそのようにしてできた映画は、その脱力系のルックスとは別の次元で、実に力強く凛々しい。 [review] | [投票(9)] |
★5 | イングロリアス・バスターズ(2009/米=独) | 「キル・ビル」のヒロインを「バーン・アフター・リーディング」の脇役が取り囲む。主要人物の造形とその相関図において、ただメラニー・ロランだけに与えられた切実さが、彼女を特権的なヒロインのポジションに置いている。 [review] | [投票(8)] |
★5 | ミスティック・リバー(2003/米) | 『チェンジリング』から振り返る思いでDVDで再々見。撮影監督は同じトム・スターンだし、キャスティングディレクターの手腕による脇役端役の充実度も共通している。モチーフの相似も随所に感じるが、ここはひとつ脚本から映画を立ち上げるイーストウッドの演出手腕について考えてみたい。 [review] | [投票(8)] |
★5 | 十三人の刺客(2010/日) | 欠点を補って余りある魅力的な娯楽時代劇。浪人が野武士を討つ『七人の侍』のアンチテーゼという形で、戦う者の精神が息づいている。 [review] | [投票(6)] |
★5 | フローズン・リバー(2008/米) | 傑作。映画は社会問題を下敷きにしているが、主人公である二人の女はそれとは違う次元に存在している。新聞記事には載らない生身の個人の姿がここにはあり、それがフィクションの力といえる。 [review] | [投票(6)] |
★5 | 太陽はひとりぼっち(1962/伊) | モニカ・ビッティの一人称映画であり、ストーリーの住人であるはずの彼女が、なにものからも自由に浮遊しているその表情、仕草、居住まいをうっとりと眺める映画。 [review] | [投票(6)] |
★5 | 麗しのサブリナ(1954/米) | ワイルダーとヘプバーンのナチス体験は、置き手紙・車庫・パリといったモチーフで共有される。陰影濃いオフィスでのボガートの計略は、ライトに照らし出されたヘプバーンに看破される。スクリューボール・コメディのヒロインがフィルム・ノワールのヒーローに勝利するのである。 [review] | [投票(5)] |
★5 | プレシャス(2009/米) | 10年に1本のレベルとまでは言わないが、年度を代表する傑作というに吝かでない。キャストの充実も含め、フィルムに焼き付けられた作り手の熱気が、作品の質として昇華された幸福な映画である。 [review] | [投票(4)] |
★5 | プライベート・ライアン(1998/米) | あえて戦争映画という枠組みを除外して、任務を遂行するチームの物語としてみてみると、トム・ハンクスを中心としたキャラクター造形がいかに傑出しているかがわかる。 [review] | [投票(4)] |
★5 | 28週後...(2007/英=スペイン) | 徹頭徹尾スリリングなアクション・ホラーにアドレナリン出っ放し。主要人物のヒロイックなキャラクターの、その感情の激しさに比例する壮絶な暴力描写に心がかき乱される。サバイバルアドベンチャーとして見ると距離的スケールの点でコンパクトであるが、随所に演出の工夫が施されていてテンションが減速しない。 [review] | [投票(4)] |
★5 | コンドル(1939/米) | ホークスの卓越した演出力が冴え渡る。心の内とは正反対の態度を取る男たちが織り成す人情派ハードボイルドは実にシンプルで清清しい。芝居の充実度もさることながら、ミニチュア、実景、合成とそれぞれ工夫を凝らした飛行機のシーンはいずれもアクションのツボを心得ている。 | [投票(3)] |
★5 | 荒野の決闘(1946/米) | フォード編集の104分特別編をDVDにて初見。ダリル・F・ザナックがハサミを入れた97分公開版では失われてしまった、本来のフォードの詩情がここにある。 [review] | [投票(3)] |