★3 | 地下室のメロディー(1963/仏=伊) | ダクトを這い進むだけがミッション要件では耐年性は無い。スター競演といっても互いに信頼もクソもないのでバディ感皆無でスケコマシ任務に勤しむドロンに対して苦み走り待つだけのギャバンは交錯しない。買えるのは世相を反映する冒頭からの30分。 | [投票(1)] |
★3 | ハリーの災難(1956/米) | ドタバタらしきものが繰り広げられるが登場人物の誰1人感情移入を許さないと言うのは、人間感情に関心の無い冷徹ヒッチの深層心理の表出作との意味で真性カルトと言えるかも知れぬが余りにも面白くない。特筆すべきはロバート・バークスの撮影のみ。 | [投票] |
★5 | 12か月の未来図(2017/仏) | あからさまにステロタイプな雛形を持つ物語だが、流入した難民が都市郊外でスラム化するフランス現在のリアルとスノッブだが教育という1点に於いては誠実で真摯な主人公の設定が補完して希望を垣間見せる理想郷が現出する。同僚の女教師との距離感も軽やか。 | [投票] |
★3 | ガメラ2 レギオン襲来(1996/日) | 細部で伊藤の政治性・樋口の画心・金子のミニスカ趣味がせめぎ合い予断を許さないし、毎度臨死まで痛めつけられるガメラの超M本質は外してないが、レギオンが凡庸。そのバトルは何故か「ドラゴンボール」めいて元気玉まんまの決着は点睛を欠く。 | [投票(1)] |
★3 | ジプシー・フラメンコ(2012/スペイン) | 一旦アングルを決めたら梃子でも動かさぬ依怙地な演出は好きだ。対象が120%のダイナミズムを有するの以上演出は謙虚たるべきを弁えている。只カリメ初顔合わせのセッションと母ウィニーの登壇。この2点のみで映画は成立できた。子供は不要だ。 | [投票] |
★4 | PNDC エル・パトレイロ(1991/日=米=メキシコ) | 主題としては珍しくもないが主人公が決してスーパーマンでないところが良い。女房の尻に敷かれて思い悩みながら黒く染まっていく過程がヒューマンだし切実。不穏な予兆を孕みながらも、一方で独特のユーモアのセンスに彩られてるのが救われる。オリジナルだ。 | [投票] |
★3 | ザ・フォーリナー 復讐者(2017/英=中国=米) | 歳相応なジャッキーを買いだと言えど蛙の子は蛙なのであってブロスナンのエロ爺い的腹芸に及ばない。融和と抗戦が内部軋轢を産む今のIRAを描いて呵責ない殺戮が交錯するドラマと娘の復讐譚は交わることはないのだ。突き抜けず場違い感が横溢する。 | [投票] |
★4 | 桃尻同級生 まちぶせ(1982/日) | しんねりむっつり型ロマンポルノの対極的コンセプトの下西岡琢也が『ガキ帝国』以来の里帰り大阪話ではじけまくる好脚本でロマンポルノのマキノ(?)こと小原演出も乗りに乗った好篇。面白すぎ。そして、森村陽子ちゃんが途轍もなく可愛い。 | [投票(2)] |
★5 | 幸福なラザロ(2018/伊=スイス=仏=独) | パシリな愚物の真正が垣間見えたころ起こる滑落だが狼に仮託された思し召しが奇跡を呼ぶ。聖人伝説の如何わしさを打破する生身のリアリティと映画的記憶の相反が絶妙で偽善者は福音から見放されるの安さは反転し高みに達する。世知辛い世に問う在るべき善。 | [投票(1)] |
★4 | 緋牡丹博徒 お命戴きます(1971/日) | 『ゴジヘド』と同年製作が意味をもつ公害問題が映画のモチーフをも浸食したメルクマール。シリーズ中では本流とは言えないかも知れないが、背景の荒みと穢れの陰影が末期感に感応し藤純子の殺陣に於けるシリーズ最高の濃厚なエロティシズムを引き出した。 | [投票] |
★3 | シャザム!(2019/米) | 町内が視野であるの子供と世界破壊を目論む大人の戦いに於ける認識ギャップというものが有効に活かされていないで序盤の快調は尻つぼむ。双方が親に棄てられたという来歴も大して意味ないみたい。主演レヴィはカマトトの陥穽を免れる好演だけに惜しい。 | [投票(1)] |
★3 | カラー・オブ・ライフ(2001/日) | クドいまでに繰り返されるギャグ(特にゾンビファミリー)や役者が台本を凌駕してる(特にミッドナイトクッキング)点に於いて「吉本新喜劇」的な逸脱の魂を感じた。完璧に趣味だと言っていいのだが、であればこそ映画作品としての体裁を整えてほしかった。 | [投票] |
★4 | イメージの本(2018/スイス=仏) | 愛への訣別と今の世界に対する怒りは多くのおぞましい言説のコラージュによって表明される。直截的でゴダールらしくなく珍しく真摯。増感されコマ伸ばしされた圧倒的物量の断片が帰納的に意味を為すとも思えぬが、であれば尚、孤峰に立つ峻厳を思わせる。 | [投票(1)] |
★3 | 爆! BAKU(1992/日) | 巻き込まれ型ヒロインを緩いタレントと思っていた西村知美が頑張って体当たりで演じているのに予断を覆される。一方で松尾にせよ片岡にせよ男側は背景設定が稚拙でリアリティを欠いてこっ恥ずかしい。演出は奇異さを狙わぬ木訥ぶりで悪くない。 | [投票] |
★4 | マローボーン家の掟(2017/スペイン=米) | 視点の倒置による衝撃は既視感ありまくりだし超常の喪失は世界を収縮させるのだが、それでも喪失と救い難い哀惜の想いは鉄板。演出も全篇にわたって落ち着いた的確を維持し奇矯に走らないのが良い。ただ、無私の愛を奉ずるにはやはりこれでは言葉足らずだわ。 | [投票] |
★3 | オール・アバウト・マイ・マザー(1999/仏=スペイン) | 傍系人物の特殊な設定ばかりに目が行き肝心の息子を喪失した母の自己再生の物語から瞬く間にズレていく展開。違和感を覚えるし当然感銘も無い。博覧会のように並べられた性志向が本来の人間としてのドラマトゥルギーに準じてない。アルモドバルの極私論。 | [投票] |
★3 | アベンジャーズ エンドゲーム(2019/米) | サノスの言い分に一理あるし痛みを伴わぬ間引の安楽感ゆえに1時間かけての鎮魂・苦渋は大袈裟な紙芝居めく。タイトな面子が残っての望まぬ自己犠牲な顛末に向け全身全霊で物語を絞っていくところ又かの無駄弾補充で拡散し挙句は何でもぶち込む闇鍋と化した。 | [投票(3)] |
★2 | 鍵(1974/日) | 時代の背景を伴わない低予算密室劇では映画文体の拡張力は抑止されテーマのみが抽出されるが、マゾヒシズムが性的衝動を喚起するというだけでは解りやすいものの今更なのだ。どうにもな時代錯誤感が横溢しじめついて全然面白くない。諧謔がないともたない。 | [投票] |
★3 | 多十郎殉愛記(2019/日) | 荒んだノンポリ侍が殉ずるほどの愛に見えないし、勤皇佐幕の軋轢を半端に持ち出すのも視点がぶれる。耐えて抑えた気持ちが爆裂するようなパッションに遠く終盤の大立ち回りも寸止め。東映京都の出来合い感も安く萎える気持ちの目覚ましは多部ちゃんのみ。 | [投票(3)] |
★5 | 泥の河(1981/日) | 高度成長期の端緒は人々が未だ哀しみを噛み殺していた時代でもあったという述懐で、少年は幾度もの喪失を乗り越えやがてモーレツ時代の洗礼を受ける。出会いに始まり別れで終わる泥河べりの物語は慈しみに充ちた作り手たちの気合が最高感度で親和した結実だ。 | [投票(5)] |