★2 | ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019/米) | 「どうかお許しを」の寝返りラドンの平伏が象徴する東宝チャンピオン祭りの今更の復刻テイスト。音楽・武器・キャラなど原シリーズの摘まみ食い的な意匠投入も半端なので食い合わせの悪さだけが残る。見たいのは日常の風景の中の怪獣でCGプロレスではない。 | [投票(7)] |
★3 | スピード(1994/米) | 技術屋が作った余白の無さが横溢する。見せ場を繋げてダレ場がないのでキャラはシナリオの上辺をなぞるだけで埋没し余韻は遠ざかる。画づらのアイデアは幾つかあっても編集のエモーションに乏しいので決定力がない。いっそ更なる無機性の透徹があればと思う。 | [投票(2)] |
★3 | 空母いぶき(2019/日) | 自衛隊法の隘路を縫うというより報復の連鎖による開戦の回避を貫徹するという基軸が揺らがないことに有り得ないロマンティシズムだと思いつつ若干打たれる。銃後の情緒は廃されコンビニ店長の過労で代替する荒業もシュア。真摯な者だけが存在する理想郷だが。 | [投票(1)] |
★4 | 四畳半芸者の枕紙(1977/日) | ただただ順子とやりたいという栩野が清々しく、そんな純情への同情から体を与える中島葵が優しく、そんな葵を労るヒモ庄司三郎との四畳半こそが本作の白眉。とことん皆優しい。そして、越境するラストには至福と地獄が隣り合わせなのだ。 | [投票] |
★5 | さよならくちびる(2019/日) | 女2人に対する男のポジショニングとしての場の空気を醸成することに成功している。成田の退いた佇まいが好ましいし門脇の諦観と小松の焦燥も物語内で沈殿して融解する。フィルムの質感と忘れ去られた風景と昭和な楽曲が混然として世界を形作る。 | [投票(5)] |
★3 | アメリカン・ビューティー(1999/米) | 骨法上ピースがきっちり噛み合わないもどかしさがある。現代家族の崩壊を描いたものではないと言われればそれまでだが、サブストーリーから現れた傍系人物が物語の締めを担うのではロジカルなカタルシスには至らない。特に妻の描写は手抜きにしか思えない。 | [投票(1)] |
★3 | 水面のあかり(2017/日) | ハッタリめいた過去への遡上などが機能せぬ欠点多い構成であるが、数多の拭い難い喪失感を抱えながら生きていかねばならない人々へ寄せる思いこそ主題。チャラいところは一切なく限りなく真摯な思いだけが弧絶世界で奥床しく流れていく。津田寛治が好演。 | [投票] |
★3 | ジャニスのOL日記(1999/英) | 閉じられた世界で救われない主人公は何とか解放されたいと願いながらも特に足掻くわけでもなく虚言癖程度の逃避で済むのも、映画的な虚構を廃したリアルワールドと言えばそうかもしれない。であるならとってつけたような救済は不要だったかもと思ったりする。 | [投票] |
★4 | キングダム(2019/日) | 若き君主を立て覇権を奪回する旅路に参画する奴隷・蛮族・軍人の各々の思惑が統合される過程に必要な大風呂敷の納得性が映画枠の無理筋を押し切る。アクションの切れ、劇画的詠嘆ともに過不足なく、快演まさみと怪演大沢筆頭に良い面構えが揃ってる。 | [投票(5)] |
★4 | 奴隷契約書(1982/日) | 調教するとかされるとかの通常この種の映画で重視される自意識の変容過程は完全排除され端から「奴隷」なる1個の物体として呈示される徹底ぶりは社会的モラリズムをぶっ飛ばす一種の爽快感さえある。小沼と組んだ前田米造の仕事としても最高クラス。 | [投票] |
★3 | 初恋〜お父さん、チビがいなくなりました(2018/日) | 理を好む男と情を優先する女は所詮は相容れぬ生き物であって、であるから無理してでも「好っきゃねん」の一言くらい言いなさいよって言われんでも分かっとーわって帰結だが、それでも2人の老優の老いを噛みしめるかのような佇まいは胸を打つ。特に賠償。 | [投票(1)] |
★3 | 顔(1999/日) | 悲惨な状況に諧謔を差し込むことは有りだとしても真のどん底から遠ざける。ひとつひとつのエピソードはそれなりに魅力があるが単なる羅列に終わり再生につながる道程を構築しきれない。主人公の生き様に対しての感情の寄せ場がないから感銘も覚えようがない。 | [投票(1)] |
★5 | スケート・キッチン(2018/米) | 仲間から放逐されてもSNSで「ごめんね」と言えば大丈夫なガールズコミューンだとしても、打ち込む共通土俵があればこそなのだ。そこは肌の色やセクシャリティは全く問題にされない世界。彼女たちの所作や醸す雰囲気のリアリティが映画の信用性を担保する。 | [投票(1)] |
★2 | エンゼル・ハート(1987/米) | 確信的にムードに埋没して自走すれば開ける地平もあろうが計算尽くの小手先で表面ずらをなぞっただけの薄皮めいたペラさに全篇被われてる気がする。であるから悪魔なんですと言われた時点で「さよか」で終わり、どんでん返しは感情を素通りし深部に届かない。 | [投票] |
★4 | 深夜の告白(1944/米) | ファムファタールに拮抗するハードボイルドはワイルダー流の語りの澱みなさのまえに雲散する。ただ、それはそれで流れを担うG・ロビンソンの妙演もあり愉しくもある。振り切ったが再度の攻めで敢無く篭絡される肝を更なる粘度で描けてればと思うが。 | [投票] |
★4 | リリイ・シュシュのすべて(2001/日) | 集大成的な力作だが、それでもネット上の世界と現実世界のリンクの仕方は、ただ最後の種明かしの為の方途としてしか機能していないように見えてしまう。『スワロウテイル』でも感じたが岩井は根のところで存外に旧い物語を信用しているように見えるのだ。 | [投票] |
★4 | ダンボ(2019/米) | バートン色はエッセンスに止まりオリジナルの強度が前面に出る。それは象親子の哀譚と同時に母を亡くした子等が新たな家族を獲得するまでの物語でエヴァの自然体が心地よい信用性を放っている。媚びた嫌らしさもなく『リターンズ』の裏返し配役も妙。 | [投票] |
★3 | ギルバート・グレイプ(1993/米) | 逃避願望はあるだろうに在るがままを自然体で受け入れるが如き主人公のキャラが良く清流の如き映画と思ったし、ディカプリオは正味天才だとも思った。ただ、寄りの画がニクヴィストとは思えない甘さで画龍点晴を欠く。演出が素材に負けているのだ。 | [投票(1)] |
★2 | ハイ・ライフ(2018/独=仏=英=ポーランド=米) | フェミニズムの成れの果ての腐臭が漂う思い込みは科学的な細部のリアルを放逐する。ゴーマンであるし痛ましい。何年間もの禁欲を強いられた男女たちの衝動も退廃も描かずにビノシュの独善に仮託するには狂気も不足。代わりに犬たちの荒みのみ立ち昇る。 | [投票(1)] |
★5 | 紅夢(1991/中国=香港) | 藝謀第1期の色と構図への過剰な拘泥は下手すれば偏狭世界のドツボ閉塞を招きかねないのに、あろうことか1から4へと右往左往する超形式的な配列に準拠する物語に依ってマイナス2乗=超絶プラスへと転化し得わけである。毒をもって毒を制した感がある。 | [投票] |