★5 | シン・ウルトラマン(2022/日) | シトの如く次々襲来するQ禍威獣がQテーマと同期し高度なギャグと化する。後は何とかインパクトなゼットンに至るまで禍威獣→星人の間断ないリレー&まさみas巨大フジ隊員のオマケで緩む間もない。半世紀を経て脅威に反転した光の国。ナウな時代認識。 | [投票(2)] |
★1 | グッドモーニング・バビロン!(1987/米=仏=伊) | 兄弟愛や家族愛や夫婦愛らしきものが並列されてはいるが何一つ沁みてこず、サッカリン入りの駄菓子のように甘っちょろい。大風呂敷を広げて『イントレランス』という神話の領域に拠って立つにしてはスペクタクルが不足で紙芝居のように薄っぺらい。迎合的だ。 | [投票] |
★3 | マイスモールランド(2022/日=仏) | 難民申請の理不尽や入管の非人道といった問題と主人公のアイデンティティの揺らぎの話がうまくリンクしていないので、あれこれ触れてみただけに終わる。彼女と彼氏が向かう何処かにある希望か絶望。これは本ちゃん前の前日譚。問題提議の真摯さを了解の上で。 | [投票(1)] |
★5 | ピアニスト(2001/仏=オーストリア) | 閉塞状況で育まれた自我が変態性にまで肥大化した世間知らず女の生態と言う事なんだろうが、この真正面から恥ずかしげも無く突き進むキャラクターは殆ど前代未聞。これを体現可能な唯一無二の女優ユペールの憑依演技。憐憫も共感も無い冷徹な視線が良い。 | [投票(1)] |
★2 | デュエル(1975/仏) | ファムファタール登壇めいたノワールな導入は長回しと的確なフレームワークが決まり大層に魅力的だが、あとはグダグダ。だいたいにこの茶番めいた設定から何を押し出したかったのか皆目解らん。アホに振り切れずマジな心情の迸りもない。付き合い切れない。 | [投票] |
★4 | 戦争のはじめかた(2001/英=独) | 悪を制するのは更なる大悪というピカレスク・アナーキズムがいっそ清清しい。徹底的なダメ野郎は駆逐され中途半端な男たちは薬で狂気に逃れる。中盤までの何処まで暴走するかの走りっぷりが予定調和の陥穽に落ち後半失速したのが惜しい。キャストがナイスだ。 | [投票] |
★3 | 白い牛のバラッド(2020/イラン=仏) | 原理主義的ムスリムの善悪観が西洋的なそれのフィルターを通さないで提示される。ことの真相がわかってからの短兵急な展開に今一つの逡巡や葛藤があればと思うのはイスラムへの驕りであろうか。悪い奴はいないのだ。全ては司法システムの問題。そこはわかる。 | [投票] |
★3 | 男たちの挽歌 III(1989/香港) | そもそも『挽歌』シリーズに思い入れも無いので前日譚のもたらす感慨も無く単なるアクションロマンスの1本なのだが、うらぶれた映画館で「夕焼けの歌」を聞いたとき走馬灯のようにうらぶれた人生が脳裏をよぎって涙が止まらなかった。そういう映画もある。 | [投票] |
★4 | 死刑にいたる病(2022/日) | 『羊たちの沈黙』底浅バージョンめいてるが揺るがない徹底悪な本質が露呈する様は骨太だと言える。居場所のない男が存在証明を希求する展開も筋が通り腑に落ちる。演出白石と演者阿部の再タッグは実力者同士のがっぷり四つの趣きがあり力相撲を堪能。 | [投票] |
★2 | 水の話(1961/仏) | インスピレーションを頼りに行きゃあ何とかなるだろの戦略のなさが帰結した素材の残骸。料理は俺に任せろの意気も空転し素人芸と50歩100歩の体たらく。2人が名前を連ねた若気の至りモニュメントとして記録に残していいが舐めとんのかい思いは否めない。 | [投票] |
★4 | ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR(1976/日) | グループ内の不文律や統制を乱す者への聴取・説明・説得が繰り返し描かれるが、それは我々の職場・コミュニティ・サークルでのそれと似たり寄ったりで、ドロップアウトして来た者が再び排撃される。矛盾の露呈とアイロニー。消去された過激と溢れ返る言葉。 | [投票(1)] |
★3 | 極道血風録 無頼の紋章(2000/日) | 保守に抗する反動のアナーキズムという構図を描けていないから表層的にしかならないし、ガチガチの保守肩入れ姿勢が救いようもなく大時代なのだ。大体に的場が決定的にミスキャストな気がする。力ともどもに立ち役の柄じゃない。演出は手堅いのだが。 | [投票] |
★3 | TITANE/チタン(2021/仏=ベルギー) | 金属との融合願望が寄って来る人間の殺戮衝動に結びつく謂れも喪失を抱えた親爺の心の空隙に安堵を覚える道理も解らない理解不能の3段構えだが描写のコクと本気汁がハンパなくて見入る。相貌や体型に加えた変形を押し破り見破られる女の性への詠嘆的共感。 | [投票(1)] |
★1 | ラブレター(1981/日) | 『サード』で流行監督に躍りでた東陽一第2期女性映画群の掉尾を飾る「にっかつロマンポルノ」という極北感は皆無で、又かの自己満足的陰鬱世界が繰り広げられる。そこにはジャンルに対する戦略的配慮は欠片も窺えない。自己の作家世との怠惰な馴れ合い。 | [投票] |
★5 | 親愛なる同志たちへ(2020/露) | モノクロの精緻なショット分解が60年代欧州名画を彷彿とさせる一方パノラミックな民衆弾圧描写の剛腕。老齢コンチャロフスキーの言わずに死ねぬの執念が結実。民衆視線を排した体制側2人の捜索行脚はアイロニカルな視座を付与。父親の過去述懐も戦慄。 | [投票(2)] |
★1 | 夏の秘密(1982/日) | たのきん映画ヒットの夢よ今一度と少女版3人組パンジーで勝負に出た東宝。って言うほど勝負したとも思えないダラな出来。まあ、たのきんみたいな白痴的能天気さを持ち合わせていない普通少女パンジーちゃんたちにはこれで消えて良かったのではなかろうか。 | [投票] |
★3 | 果てなき船路(1940/米) | 先行きないドン詰まりの船路に女達の乗船・爆弾の荷積・スパイ疑惑と彼是起こるが成行は断ち切られ閉塞感は弥増すだけ。ベルイマンかと見紛う救いのなさ。陸に上がってやれやれも束の間ボッタクリバーで身包み剥がれる顛末はミッチェルの奈落へ連結。 | [投票] |
★3 | ボディガード(1992/米) | 立つ世界の違いが、又人種の障壁が生み出す恋の刹那感。とくれば、これは『ローマの休日』の現代版焼き直しとも思える。監督が今いち巧くないのでしまりがないがカスダンの脚本も主役の2人も良い。特にホイットニーのカリスマが醸す虚実ない混ぜ感。 | [投票] |
★5 | 英雄の証明(2021/イラン=仏) | 自己正当化の為ついた小さな嘘が事態をどんどん悪化させる。ファルハディ自家薬籠の作劇は取材に基づく設定と融合され目眩くキレ。どうしようもない奴と切って捨ててもいい筈が姉や息子や義兄や恋人は皆こいつを護ろうと必死。家族とは元来そういうもの。 | [投票(2)] |
★2 | 炎上(1958/日) | この薄暗い画面の連続の中に反俗世の象徴たる主観的絶対美としての驟閣寺は一片たりとも垣間見えないので、主人公の懊悩がどうにも説明不足で薄っぺらい。結果、それを消滅させ自らも消えるという滅びの美学は陰々滅々たるコンプレックスの形骸的表象となる。 | [投票] |