けにろんさんのコメント: 更新順
らせん(1998/日) | 喪失感と哀しみに満ちた主人公の設定が良いし、手堅い演出にも好感を持ったが、何分、同時上映された『リング』の恐怖の余韻をブチ壊す安易な「貞子」の解釈で、それが必要以上に本作を不人気にした点は不幸であった。 | [投票(2)] | |
男たちの挽歌 II(1987/香港) | ジョン・ウーは、どうも撃ちまくり破壊しまくる銃撃戦だけを撮りたかったようで、結果、堪えに堪え忍んで最後にブチ切れるという任侠世界が後方に追いやられ、何故か獲得したのが80年代アメリカ映画の1系譜たるベトナム帰還兵ものの厭世観だった。 | [投票(2)] | |
メン・イン・ブラック2(2002/米) | ウィル・スミスが引っ張る非日常が常態である序盤の異空間が素晴らしかったのに、ジョーンズが出て来て予定調和の自己回復が主眼となり、おざなりとしか言えない涙を見せられるに至ってはシラけ気分が極まった。 | [投票(1)] | |
スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(2002/米) | 圧倒的な物量で繰り出される戦闘機械やクリーチャーの数々が素晴らしく特に終盤30分のバトルは圧倒的。しかし、所詮、解ってる結末に向かい整合性を付けるべく展開されるアナキンの変容が、どうにもヒネリなく深みが無いのが残念。 | [投票(7)] | |
ティン・カップ(1996/米) | 実力があるのに、それを出し切れない理由として「わがまま」っちゅうだけでは話にならんと思う。それじゃあ実力も無くひたすら我慢の人生を送る俺みたいな野郎は浮かぶ瀬もない。何から何まで甘ったれたクソ映画。 | [投票(1)] | |
怒りの葡萄(1940/米) | 現実に貧乏な時代に作られたからこそのリアリティと現実に家族が固い絆で結ばれていた時代だからこその感銘が抜きん出ている40年代フォードの貧乏アメリカ3部作の初作にして最高作。トーランドの撮影も特筆もの。 | [投票(4)] | |
ローラーボール(2002/日=独=米) | 70年代であるならば未だしも意味を持ちえた「反権力」を21世紀の映画に於いて何の工夫も無くトレースする錯誤感と肝心の「ローラーボール」のゲームがチマチマして局所的な描写に終始するのが救われない。 | [投票(1)] | |
サウンド・オブ・ミュージック(1965/米) | 大甘お子様ランチでも贅の限りを尽くし冴えた演出にかかるとヒネた大人でも涙する。結婚式や音楽祭の巨大なリアリティとアルプスの大パノラマの美しさに素直に感銘した。そして、今でも「エーデルワイス」を聞くと胸が熱くなる。 | [投票(2)] | |
コラテラル・ダメージ(2002/米) | 狂人による殺人でないテロは双方向である点を比較的公平に描き、沸点に達した悲しみと怒りの矛先が徐々にずれて行く過程に無理が無く巧いと思う一方、お座成りな設定も多すぎる。コロンビア側の役者は皆良い。 | [投票(2)] | |
モータル・コンバット(1995/米) | 技を持たない役者をCGでごまかしたってダメだってことを地球上の映画人たちはいいかげん気付くべきである。調子の良い音楽だけが際だって、肝心の役者達はもっそりと見たくもない大見得を切り続けるのみだ。 | [投票(2)] | |
ウェスト・サイド物語(1961/米) | 原作でテイボルトやマキューシオが担う役割を集団に置き換え前面に出し、不良グループ同士のみならず不良と警官、男と女など多様な対立の劇的緊張の連続をモダンバレエで描いてド迫力。加えて映画史を正味塗り替えたワイズのテクニカル編集は極み。 | [投票(7)] | |
大阪物語(1999/日) | 滅び行く親の世代と脱皮しながら育ち行く子の世代の対比は在り来たりかも知れぬが驚くべきバランス感覚の良さで、どちらの描写も全く過不足無い。日常に芸人が介在する浪花の世界に組み込まれた親子が全くあざとくないのが素晴らしい。 | [投票(3)] | |
動脈列島(1975/日) | 何事もド真ん前からしか描けない増村にはハッタリやケレンを要するこの手の題材は向いてなかった。特に凝ってるとも思えぬ攻防戦がひたすら淡々と進み淡々と終わってしまう。田宮VS近藤よりも山村VS近藤に魅力があるのも構成ミス。 | [投票(2)] | |
イナゴの日(1975/米) | 兎に角、嫌らしい奴と情けない奴しか出て来なく、悪が弱者を駆逐していく構図の先端に少年を配するという徹底振りが突き抜けている。スペクタキュラーな要素も織り込んでハリウッドへの憎悪を込めた退廃ムードが出色。 | [投票(2)] | |
学校 III(1998/日) | リストラに絡む部分は山田の現実認識の弱点を露呈しているが中年男女の恋愛描写はさすがに絶妙に巧い。大竹しのぶはこういう役だと本当に独壇場。そして、投げ出すようなラストがシニカルで厳しい。 | [投票(4)] | |
JSA(2000/韓国) | 南北国境の紛争事件を調査するのが北の将校を父に持つスイス国籍の女性将校という魅力的な設定が活かされず、浮かび上がるのは結局いつもながらの友情と信義の物語のみ。情に流されず描写に抑制が効いてるだけに惜しいと思う。 | [投票(3)] | |
ビリケン(1996/日) | 収束しないものを体裁だけで辻褄を合わせる適当さが穴かも知れぬが、この新世界ワールドが好きなんだからしょうがないとしか言えない。脇のキャスティングが抜群で特に岸部に感嘆。浜村淳は『ガキ帝国』の上岡龍太郎をも凌駕した。 | [投票(4)] | |
ボーイズ・ライフ(1993/米) | 虐げられた少年の旅立ち物語なのにデ・ニーロとバーキンが立ち過ぎて本来のストーリーを後方に追いやってしまった。とは言ってもデ・ニーロの役を選ばない何でも来いの姿勢には好感を持つ。 | [投票(3)] | |
ハイヒール(1991/仏=スペイン) | 「母」或いは「母性」と言うものに対する思いのたけのベクトルが理屈では解かってもアルモドヴァル流に捏ねくり回されて提示されたとき、どうも俺にはピンと来ない。アブリル他出演者全て覇気無く燻っている印象。 | [投票(1)] | |
愛の世紀(2001/スイス=仏) | 映画製作話に独善的モチーフを散りばめた閉じた世界は食傷するが、一方で困ったことに、この映画はとてつもない美しさなのだ。しかも終末観とでも言うような哀しみに覆われている。ドカエやヴィエルニの最高作に並ぶモノクロと原色デジカメの前衛。 | [投票(2)] |