★4 | 告白的女優論(1971/日) | 語られてきた話は須くどんでん返される。心理的トラウマなど表層のこと見てただけでは解る訳ないとでも言うように。そして意図せぬままにミステリーの叙法に近似していく。だがそれらの物語が「女優論」として彼女達の実存との関係性を提示していたかは微妙。 | [投票] |
★2 | 忍者(2004/香港=中国=日) | 最初はモラトリアムなテキトー野郎だとしても、物語はその成長を促し何かが内部で変容していく様を抽出すべきで、その為にこそ魔裟斗・白田のニッポンカップルをこそ深く掘り下げて欲しかった。ただそれ以前に今更忍者でもなかろうという問題がある。 | [投票] |
★2 | 桜 −さくら−(1979/中国) | 日中平和友好条約締結の政策的記念映画は残留孤児問題を双方の架け橋と規定しなければ進みようがなかった。希望を謳ったそれは悪くもないのだが、何せ掘り下げも技術も拙劣である。第五世代勃興前夜の旧世代教条映画の域を出ていない。退屈極まりない代物。 | [投票] |
★3 | 黒豹のバラード(1993/英=米) | これはと思う冴えた描写も結構あるのだが暗い。暗いのはいいとしても甘ったるい。マカロニウェスタンとペキンパーをパクって今風(当時)ミュージッククリップ乗りを加味したものの正体は浪花節だったというブラック・ウェスタン。過渡期の徒花である。 | [投票] |
★4 | キングダム 運命の炎(2023/日) | んなアホなと思う中華統一の薄過ぎ根拠だが余人を寄せ付けぬ大沢の浸り切り演技が納得ならしゃーないとも。少数部隊で何百何千の敵中を突破するファンタジーは山崎のアドレナリンと身体性の前に疑義を粉砕される。正調少年漫画の立脚点に迷いはない。 | [投票] |
★3 | トイ・ストーリー2(1999/米) | Part1以上にテクニカル面では巧妙で文句のつけようもないが驚きも無い。どれほど斬新なものでも続篇は規定の範囲内に収まった世界観では収縮感を補えないということ。ハートを打つ真情ってのはもっとプリミティヴでいい。冒険心の欠如は陳腐化を早める。 | [投票] |
★5 | 不安は魂を食いつくす(1974/独) | 分かり易い女心と恐らく自分でも判じ難い男の心情。緩やかなトラックアップやダウン、横移動などがジョニー・トーめいた圧をもたらし、寡黙な男や女たちはカウリスマキ世界の住人のよう。その意図せざるキッチュが逆説的に俗話を崇高なものに高める。 | [投票] |
★4 | 白い刻印(1997/米) | 解っててもどうしようもない遺伝子の業が救われない壊れゆく男を描いてシュレイダー自家籠中の世界。歯車の歪みは連鎖して全てをぶち壊す。ノルティが壊れても毎度のことなんだがコバーンの共感を完全排除した演技には全く参った。突き抜けてる。 | [投票] |
★2 | クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022/カナダ=ギリシャ) | 実しやかなハッタリは現実事象との接点があることで実しやかであるのにクローネンバーグの脳内で閉じた物語はプラスティックな与太話にしかならないし臓物もビニールめいてフェティズムの欠片もない。これでは劣化版『クラッシュ』の域を出るものでない。 | [投票(1)] |
★4 | ドラッグストア・カウボーイ(1989/米) | 手垢の付いた題材だとしても、大上段な視点から破滅的にしか描かれてこなかったトリップイメージが優しさに充ちた至福の世界として描かれる点にコペルニクス的衝撃をおぼえた。気取りの無い日常を同一線上から捉えた視線は高度に内省的な自戒に充ちている。 | [投票] |
★3 | わるい仲間(1963/仏) | 本来あるべき人物観から否応なく乖離してしまう本音。女はロクでもなくて、男たちはそんなに悪い奴等じゃないように見える。そのへんがユスターシュの女性観とか生き様とかを窺わせる。多分にニヒリスティック。街頭ロケが衝動の生々しさを担保いている。 | [投票] |
★2 | ドリームシップ エピソード1/2(2004/独) | 特撮にけっこう気合いが入っており最初は見入ってしまったが、オカマ3人組が出てきてシラけてしまった。ドイツでは、こういうバカそのものが受けるのだろうか。後はオカマである意味すらも無い低級ギャグがひたすら連チャンされていき脳内は白濁化していく。 | [投票] |
★3 | リボルバー・リリー(2023/日) | 市井に暮らす嘗ての伝説のスパイ&殺戮マシーンが再起動する。鉄板の設定に背景修飾も描き込まれているのだが行定の擬斗の魅せ方に斬新なキレは望めない。集団戦・タイマンともに凡庸。1人で100人倒すのはエモーションの喚起が要る。赤ちゃん要らん。 | [投票(2)] |
★2 | 消しゴム(1977/日) | 言いたいことは解るのだが、直截的すぎでだからどうした?としか思えない。勿論だからどうしたの映画は世に幾らでもあるが、最低限そこを新奇で斬新なイメージで補追して欲しい。本作は従来の寺山キーワードの使い回しでしかないのが弱いし今更感を煽る。 | [投票] |
★2 | 地球防衛軍(1957/日) | 敗戦後の塩垂れ感が国連復帰で禊ぎが済んでの復権。その安寧が悲壮感を削ぎミステリアンのヘタレ造形に繋がったのだろうが彼らの地球の女掠取計画はヘタに生々しい。冒頭の盆踊りがヤケに気合いが入ってモゲラ登場まではかなりにハイブリッドなだけに惜しい。 | [投票] |
★3 | ひめゆりの塔(1982/日) | 『あにいもうと』が成功したものだから同じ水木洋子脚本の再映画化第2弾ということだろうか。が、ここには天才(秋吉久美子)が不在であったし戦争への思いは年とともに風化する。職人芸は健在で予想外に悪くはないが切迫感の欠如は如何ともし難い。 | [投票] |
★4 | しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司(2023/日) | 大根の衒いなきエロ視線はしんのすけの邪心ないエロ志向と水油の如く乖離するので寸止めを強いられ、令和ニッポンの閉塞はお子ちゃま達に馴染み深いイジメへと矮小化される。『AKIRA』鉄雄よろしくメタモルフォーゼする青年のフォルムは一応の風穴。 | [投票] |
★3 | 女帝 春日局(1990/日) | 「女帝」としての覇権を得るまでの話であって題名に偽り有りだと思うのだが、まあ、それなりにはおもろい。脇での名取・草笛の老若老練コンビが良く、十朱1枚看板では苦しいところを好サポート。しかし、思うのだが、大奥ものっておもろいか?。 | [投票] |
★5 | こわれゆく女(1975/米) | 正常と病気の微妙な隘路を縫うようにカサヴェテスが造形しローランズが神懸かり的に演じた主人公のヒリヒリ感から一瞬たりとも目を離せない。夫も時にキレ時に忍従する。そんな日々の積み重ねが何日、何年、何十年と続いていく。夫婦ってそんなもん。 | [投票(3)] |
★2 | 殺しの烙印(1967/日) | モノクロ画面で若干はそれらしく見えるものの、透徹した様式美が未だ確立されているとも思えないので、「ごっこ」のような小便臭さだけが画面に蔓延している。中身ゼロの物語には相当な覚悟が要る。日活解雇の切欠としての伝説味は所詮は陳腐化するしかない。 | [投票] |