けにろんさんのコメント: 更新順
キングダム 見えざる敵(2007/米) | ワンサイドなスタンスをラストの詠嘆で修正しようとするあざとさを割り引いても、冒頭で提示されたサウジと米の歴史が現在に繋がりゆく構造的解明が些かも試みられず陳腐な人質奪回劇に堕していく様に唖然とした。カメラも無為に揺れすぎ。 | [投票(1)] | |
蜜の味(1961/英) | 彼女には境遇を外部と比較する余裕もない。マイノリティな世界での安息も許されない。ただ直面する現実には向き合い逃げない。子供達のささやかな花火を見て束の間のささやかな感動を胸に生きていくだけ。人生とはそんなものだと思う。 | [投票(1)] | |
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(2007/日) | どいつもこいつも誰にも依存しないし前に進むことに清々しく躊躇が無い。佐藤・伊勢谷・桃井・香川の乗りに、最近の三池映画に顕著な役者を気持ちよく転がす場の現出を随所に見る。初コラボの栗田カメラとの相性もバッチグー!。 | [投票(3)] | |
女帝[エンペラー](2006/中国=香港) | 肝心のツィイーちゃんの心根の変遷が説明不足で何考えてるのかわからんのがつらいが、贅を尽くしたセット美と仮面舞踏などの異様なギミックが冴え見応えはある。クライマックスの畳みかける展開にも唸ったが成程シェークスピアでしたか…。 | [投票(1)] | |
ブラッド・ダイヤモンド(2006/米) | 相反する利害を持つ3人のベクトルが収斂されてゆく後半の展開がオーソドックスではあるが肉厚な状況描写に支えられてカタルシスを産む。ロマンティシズムの芳香さえ感じた。メッセージは陳腐で単純だが、それが幸いした。ディカプリオも久々に良い。 | [投票(3)] | |
マイ・ウェイ(1973/南アフリカ) | 強権的な親爺がシナトラのド演歌に乗って自己陶酔に浸る映画なのだが、凡庸な演出で何一つ美点も認められない。白豪主義国家のモラリズムの遺物ぶりを笑う前に、75年の興収でそこそこ人が入っちまう名誉白人国家ニッポンをも又笑え。 | [投票(1)] | |
プレスリーVSミイラ男(2002/米) | ブルース・キャンベルの枯淡とも言うべき老人演技が味わい深く、エルビスネタのシケた頃合いもナイスなだけに、ヘタレなホラーへの拘りは要らんとも言える。ただ、ヘタレなのも又可愛いとさえ思えてくるから困ったもんだ。 | [投票(2)] | |
傷だらけの男たち(2006/香港) | アバンタイトルのパノラミックな構成には期待したものの、ラスト10分で一応は氷解するトニー・レオンを軸とした「男と女」と「男と男」の物語を引っ張るには矢張り構成上の難がある。ムードに流れセンチで押すだけなので重いだけで食い足りない。 | [投票(1)] | |
白い巨塔(1966/日) | 山崎原作の段階でエンターテインメントとしては完成され尽くしているのだから、ストーリーテラー山本が捌けば下手を打つ筈もないが、時代に裏打ちされた確信的とも言える役者たちのグルーヴ感が並ではない。恍惚なまでの至福と言う他ない。 | [投票(1)] | |
デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米) | 70年代BC級映画の技巧を凝らしてのトレースもいいが、濃厚な限定空間で「スタントマン」の異常な偏執を抽出した前段を、バッサリ切った後段。タランティーノの秀でた点は矢張り構成なのだと改めて思った。爆笑のラストは久々の傑作。 | [投票(7)] | |
ショートバス(2006/米) | こいつらには愛とSEXしか無いのかというミニマムな閉塞感を思うが、60年代フラワームーヴの復刻かと思える懐古趣味を色濃く滲ませたJ・C・ミッチェルには矢張り心を射られる。ハードな描写の連続に嫌悪感を感じないのは、その優しさがあるからだ。 | [投票(3)] | |
主婦マリーがしたこと(1988/仏) | 堕胎幇助にせよ不倫にせよ誉められた行為とは思わないが、ここまで断罪される行為なのか?という時代に於ける倫理観の変遷をシャブロルは肯定も否定もしない。その冷徹なまでの視座。ユペールがクールに熱い。 | [投票(1)] | |
ファール・プレイ(1978/米) | ハリウッド王道のロマンティック・コメディ・スリラーだが、エレガンスが足りずもさく、スリルを醸すには下手で、ゴールディのコメディエンヌは買うがチェイスは鈍重な木偶の坊だ。ダドリー・ムーアの異常だけ突出している。 | [投票(1)] | |
墨攻(2006/中国=日=香港=韓国) | アクロバティックな攻防戦を排したのは好感を持ったが、そもそも非戦を説くべき墨家が戦争プロとしての戦略に長けてるアンビバレンツを強固に描かないので、どこか視点が定まらない。終盤は安直なヒロイズムに流されたもののビンビンちゃんはいい。 | [投票(1)] | |
ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999/米) | 主観カメラ2台に限定する手法的制約を如何に切り抜けるかという幾何学的な興味。往々にして妥協と凡庸の陥穽に陥るところだが全く針はブレなかった。こういうのは、ノータリンか強固な意志を持つ者にしか成し得ないのだ。多分だが後者だろう。尊敬する。 | [投票(1)] | |
トランスフォーマー(2007/米) | 又かの侵略ものかと思えば序盤で馬鹿に転倒し最後まで馬鹿を押し通したところはマイケル・ベイの虚飾なき到達点とさえ思えた。合体ロボ同士が語り合う様にキッチュを感じ、ラストに至っては極北をさえ感じた。崩れないという意味でも新生面と思う。 | [投票(3)] | |
白夜(1971/仏=伊) | 余りにもの内向的世界に退く部分もあるが、確固たるポリシーで統一された透明感には微塵も隙が無い。その世界を構築するのは叙事的物語ではなく刹那の叙情なのだ。わけてもセーヌをたゆたう観光船は白眉。 | [投票(3)] | |
魔笛(2006/英=仏) | 古色蒼然とした物語を半端な時代設定で脚色したことによって陳腐さは倍加された。更に哀しくなるまでの安価なCG空撮の羅列が古典を貶める。ブラナーは無邪気でノーブルなのだろうが度を超すと付き合いきれない。パーペを除いた役者も魅力がない。 | [投票(3)] | |
ケイゾク/映画(2000/日) | 80年代アニメとの関連付けは誤読と思いつつ、危難待つ牙城に潜入する前半に『カリオストロ』、構造が崩壊する後半に『ビューティフルドリーマー』を感じた。斜に構えたキザも堂に入り原シリーズ未見でも楽しい。寧ろ背景を想像する余地が余韻を増幅させた。 | [投票(1)] | |
故郷(1972/日) | 諦観にも見える時代の推移へのメッセージを伝えようとしたのではない。緩い『裸の島』じみた夫婦の無言の居ずまいの作業の連続はやがて新たな生活への不安をも払拭する。『家族』では浮いた疑似リアリズムが板につき渥美を始め脇も出過ぎず素晴らしい。 | [投票(1)] |