コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 未知との遭遇(1977/米)

一三七分版。いまだ『シンドラーのリスト』とこれが撮影におけるスピルバーグの最高作だ。光に溢れた鮮明な画面は必ずしもヴィルモス・ジグモンドの資質に最もふさわしい造型ではないだろう。だがこのルックが私には堪らないのだ。別班・追加の撮影者たち(錚々たる顔触れ!)もすばらしい仕事を残している。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







語りの説明不足やいかがわしさなど取るに足らない。なぜリチャード・ドレイファスらは「山」の形状にとらわれるのか。どうしてあの五音でコミュニケーションが図られるのか。その意表を突いた着想の豊かな魅力に比べれば、理屈の行き届かないことなどどうでもよい。ドレイファスやメリンダ・ディロンはむろん、フランソワ・トリュフォーをはじめとする科学者・技術者たちにしても、事態を正確に理解している者はひとりもいない。わけを分かっていない、しかしどこか確信に満ちた彼らの表情こそが感動的なのだ。それがほとんど「狂気」に近似したものだとしても。だからスピルバーグのフィルモグラフィで最もホラーに接近したドレイファスの家庭シーンもことごとく面白い。これはスピルバーグとしては異例と云ってもよいほどに感動的な「顔」の映画である。

また、ダグラス・トランブルの貢献は当然無視できぬにしても、「遭遇」シークェンスにおいて「光」と「音」のシンフォニーを奏でようとするスピルバーグの志向の映画性こそ認められなければならない。母船が常軌を逸した巨大さであるというのもまったく正しい(「常軌を逸した巨大さのUFO」という一点のみをもって、私たちは『インデペンデンス・デイ』を積極的に評価しようではありませんか!)。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ナム太郎[*] 赤い戦車[*] 緑雨[*] ゑぎ いくけん けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。