[コメント] Dr.パルナサスの鏡(2009/英=カナダ)
テリー・ギリアムも老いたかと感じさせられるのは否めないが、どっこい確実に奮闘を続けている。ビターテイストのエンディングには昔ながらのギリアム流の毒気が健在なのだ。これはトニーの物語ではなく、あくまでパルナサス博士の魂の遍歴の物語だとよく判る。悪魔のトム・ウェイツは好演。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
故ヒース・レジャー及び、友情出演の3人の存在ばかりがクローズアップされているが、これはあくまでクリストファー・プラマーの映画として作りこまれている。ファンタジーに疲れた目には現代ロンドンの風景は心地よく映るけれども、当のパルナサスには地獄同様に見えるだろう事は物語より明らかである。トニーはいわばパルナサスの悪魔に対する切り札に過ぎず、最初から使い捨てられる運命にあったのだから、この終わりは必然である。それでもなんと贅沢で、皮相的で、残酷で、そしてギリアムらしい幕引きであったことだろう!
はっきり言ってこの映画、弱い。弱過ぎる。往年のギリアム作品のレベルを知るものにはメチャクチャ絶対的なパワー不足が香るものであるにせよ、この筋運びは見事に絶頂期のスタンスだけは再び取り返すことに成功したな、との観はあり、それは何とも嬉しい気分を掻き立ててくれたことは否めないものがあったのだ。
おっちゃん、頑張ってるな…と、ここは一言かけておこう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (7 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。