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[コメント] バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)

冷戦の残り香を嗅ぎながら、グルグルと奔り廻る負け犬たち。"Mr. & M(r)s. Loser.com"
Lostie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず、『ノーカントリー』ほどの境地に(良くも悪くも)達してしまった直後にこういうコメディ色の強い映画を撮れる、その「振れ幅」がスゴい。まるで、あの作品を深く読んで高く評価してくれた人間に、「な〜んつって♪ なに熱くなってんの?」とおちゃらけているかの様だ。この映画は(人工衛星並みの)超俯瞰から始まり、超俯瞰に終わる。壮大な、まるで神の視点だ。もちろん、それもハッタリだ。しかも、観客に「どうせハッタリだろ」といいかげん気付かれているのを判ったうえで、それでもあえてのハッタリ(のようにも思う)。いつまでたっても食えない兄弟だと思う。

そして、相変わらずのヒネクレ具合。ハリーがせっせと作っていたモノはもっと凶悪なモノだと思ったし(ある意味ではアレこそ凶悪だが・・・)、クローゼットに隠れたチャドは見つかりはしない、見つかっても殺されはしない(ブラピがこんなに早く退場するわけない)と思っていた。ああ、チャドの最期の情けない笑顔。あと、クローゼットから下半身だけが出たフォトジェニックな構図。

コーエン作品初出演のブラッド・ピットはどうなるものかと思っていたが、あの「頭悪い」演技は非常に面白かった(特に、オズボーンと対峙した際の細目と狼狽!)。マルコヴィッチも、まあ期待通り良かった。ただ、ジョージ・クルーニーは正直ちょっと見飽きた気も・・・。コーエン兄弟はクルーニーとの蜜月関係をそろそろ解消した方が良いんじゃないかな〜、と思う(ソダーバーグも)。使いやすい俳優なんだろうけども。

さて、この疑心暗鬼に陥った人々の奇妙な物語は、我々に何を伝えようとしていたのか。少なくとも僕は特に何も学べなかった。・・・ヤバい、「ワケわかんね」とサジ投げたあの「お偉方」と一緒だ。まあでも別に良いや。あんまり深読みすると脳が炎上してしまう。『Burn After Reading』とはそういう意味だ(・・・嘘、というかまあ普通に考えれば「読んだら燃やせ」または「このメッセージは読後、自動的に消去されます」みたいな、つまりスパイ映画でよく見るような「機密文書」的な意味だろう。ダブル・ミーニングの可能性は、もしかしたらあるかもしれないが)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (11 人)DSCH[*] ぽんしゅう[*] chokobo[*] 代参の男[*] サイモン64[*] プロキオン14[*] ペペロンチーノ[*] カフカのすあま[*] 3819695[*] Keita[*] けにろん[*]

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