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[コメント] ミスティック・リバー(2003/米)

そもそも原作自体がミステリーとしてはB級。ただ原作は人間関係、家族関係、地域社会、育った背景などの描写が巧かった。映画化に際しては大幅な省略化で、その辺が粗雑になってしまったのが悔やまれる。役者陣の演技合戦は観ていて楽しめる。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作にてペンが、悲願のオスカーを手にしたがあまりにも予定調和な演技過ぎるので違う作品で穫らせてあげたかった。原作だとペンの演じた役柄は、もう少しギラギラさがある若い頃のパチーノのイメージ。同じようにロビンスベーコンの演じた役柄も原作とキャスティングのイメージがズレる。原作ではベーコン演じたショーンは幼い頃から優秀で陽気で、友人でも彼の笑顔に嫉妬を生むような手の届かないオーラがある男。そこが3人の関係に微妙な溝を生んでいるのに、映画では生真面目な刑事としての印象しか描けていず残念。ロビンスの演じた役柄ももう少し小柄で繊細なイメージなのだが、それでも複雑な役柄をロビンスは健闘はしていた。二人の妻たちを演じたリ二ーゲイハーデンも原作ではもっと掘り下げられており、リ二ーペンのそばをウロウロするチンピラ兄弟たちの妹で(映画だけから、関係が解りました?)気性が激しくもっとラテン系な性格。だから夫が殺人を犯したのを知ってもベッドで怯まずに、夫を許す言葉を発する。そこに読者は彼女の汚い血統を感じ取り、ゾッとするのだけど映画ではその辺がボケてしまっていた。ゲイハーデンも原作では夫を愛するあまりに葛藤から警察にも告げずに隠蔽工作に走るのだが、映画では早々に夫を犯罪者と決めつけ諦めの境地に入ってしまっているのが物語を浅くした。ただ、ゲイハーデン自身の演技力は流石で、ラストのパレードのシーンにおいて表情だけで自分の立場の惨めさを体現する演技は目を見張る。そんな微妙に違うキャストが気になる中、健闘していたのはペンの娘を演じたロッサム。前半だけの出演で物語のキーとなる被害者なので、後半まで印象を残さないといけないが、屈託の無い明るさと美貌で鮮やかに好演しペンの溺愛ぶりに説得力を持たせた。サスペンスの視点で問うと、同日に小さな地域で偶然に知人間で殺人事件が2つ起きたり、また幼少期の事件に何ら意味がなく単に登場人物の一人にトラウマを追わせたいだけの設定だったり痛い部分も多い。結局、本作は原作にあった人間関係の描写が弱まり、主人公3人の関係が複雑に絡み合い交差するはずが、ただ刑事、被害者、容疑者となってしまった部分に敗因がある。憂いを含んだトーンの映像と演技力に免じて★3つ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)トシ Kavalier[*] kazya-f[*] けにろん[*] movableinferno[*] maoP

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