[コメント] 初恋のきた道(2000/中国)
策士チャン・イーモウは喰えない男
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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単純なストーリーに主演女優のアップ乱発。 雪中で倒れ運ばれてくるヒロインや2年振りの再会などの「泣かせ所」はカット。普通なら頭の悪い「アイドル映画」だ。
しかし物語は回想であり、少女が死なない事も、先生と少女が結ばれる事も知っている我々に対して「大丈夫かな?再会できるかな?」などと無駄なドラマは必要ない。それよりも、きのこ餃子は渡せるのか?髪飾りは見つかるのか?の方が観客を引付けられるのだ。 そして、学のない田舎の老婆に自らを回想させるという愚行を避け、息子というフィルターを掛ける事によって物語を整理し、現在・過去の視点も統一している。「チャン・ツィイーさえ可愛く撮れていればそれでいいや」と言わんばかりの外面のなかに細かくなされた計算が見える。
ラスト近く、母と息子が訪れた学校で見上げる赤い布。あの布だけ赤く映すという安っぽいテクニックを使われたら醒めてしまっただろう。当然そこにはモノクロでは黒っぽく見える布が張られている筈だった。それなのに、そこには明るく映えるグレーの布が。チャン・イーモウ、モノクロでも色彩にこだわっています。
この映画は破格の製作費をかけ莫大な興行収入を得た、あるアメリカ製ロマンス映画に対するチャン・イーモウの挑戦状だそうだ。物語の構成も同じらしいが、自分はその大ヒットしたアメリカ映画を見ていません。
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