[コメント] ビューティフル・マインド(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ALPACAさんがおっしゃっていることと同様のことだとは思うのですが、(架空であったり、いかようにも解釈の加えられるほど昔の人物ならまだしも)実在の人物をモデルとして、彼の精神病の幻覚を追体験させることがエンターテイメントと言えるのか。そんな彼の孤独な葛藤をサスペンス的な興味に仕立て上げてしまうことがどうなのかと言われると、個人的にはどうしても「否」に傾かざるを得ない。主人公側の視点に立って描いたというよりは、観客を欺く類の嘘の持ち込みかたを、ここ数年の何本かのヒット作を参考にして、キッチリ踏襲してみせたと言った方が妥当かと思います。それにしても、この映画のテーマにこのサスペンスの要素が必要だったのかを考えると、甚だ疑問デス。
ともあれ以上のことを踏まえると、この「偽」伝記映画には著しく欠けているものがあるような気がします。エンターテイメント作家としての手腕を十分楽しめる映画にもなっているし、嘘と真実の見分けがつけられない主人公の世界を通して、「信じる」ということがどれだけ大切かを描き、そしてそこから「愛」というものは生まれてくる、といった感じのメッセージに異論を唱えるつもりもありません。ただそんなメッセージを含む映画にも関わらず、監督のこの実在の主人公への「愛」は意外なほど伝わってこなかったというのが、正直なトコロ。主人公のキャラクターを再現しようとするラッセル・クロウの思い入れたっぷりの演技も、主人公が道具的な扱いしかされてないこの映画の中では、幾分不協和音にならざるを得ない気がします。
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