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[コメント] ターミネーター(1984/米)

機械であって、機械でない。欧米人が憧れてやまない、日本の神秘・「禅」の境地がここにある。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「生命体でなければ時空を越えられない」−こういう設定したがって、すっぽんぽんで未来からやってきた二人の男。

しかし、ターミネーターは見かけこそ人間だが、「目的のことしか考えない、そのためにはなんでもやる」、その冷酷というよりも、単純なまでの行動は、どう見ても機械そのものである。

「これが機械でなくて生命体か?」という疑問を吹き飛ばすのが、何げないターミネーターの仕草。

目ん玉をぐりぐりと修理して、その後を隠すためにサングラスをかける。ここまでは機械だろう。そしてそのかけ具合を確認するために鏡をのぞいた際に、そっと髪に手をやり、御髪をととのえるシュワちゃん。

顔にとまるハエをうっとおしそうに手で払い、掃除のおっちゃんにはわざわざ悪態で応えるシュワちゃん。サラを探して警察署に表れて、誰のを目を気にすることもなく堂々と、そして怪しげにしげしげと周囲をながめてから、受付の警官に「またくる」と律儀にあいさつするシュワちゃん。

ムダと愛嬌をふりまく生命体そのものである。このアンバランスなところこそ、ターミネーターの魅力ではないだろうか。

もちろん本作では、マイケル・ビーンも素晴らしかった。まるで「伊東家の裏ワザ」に出てきそうな、履くことなく一瞬で靴のサイズをあわせるシーンとか、悪夢にうなされて跳ね起きた、その瞬間に反射的にショットガンをポンプする、鍛え抜かれた兵士を体現したシーン、そしてこれだけ優れた兵士が女性に対してはまるっきりオクテというのもアンバランス。

この二人のアンバランスさが素晴らしい。そしてもう一人の主役、リンダ・ハミルトンのアンバランスさは、本作の最後から、続編「T2」にかけて生まれている。

(評価:★5)

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