[コメント] コレリ大尉のマンドリン(2001/米)
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初めはサッカー部のキャプテンがカッコイイと思って付き合ったんだけど脳味噌まで筋肉の体育会野郎。やっぱり文化祭でギター弾いてた彼の方に惹かれたわ(多少ハゲでも)・・・って話。
おまけに「俺は人に銃を向けたことがない」と戦術下手を暴露していたくせに、たかだか4人の部下を殺されたことに逆上してテロリストに加担。その結果、部下全員はおろか村まで壊滅状態に追い込み、自分だけはちゃっかり助けてもらった上に、大災害時には当地を離れ、「昔別れたあの女、イイ女だったな。もう一度ヤリたいな」と自分の都合のいい時にやっと戻ってくるというシドイ話。
え?実話だって?実際にはあの戦闘で9千人近くの駐留イタリア兵が死んでるんだぞ。そんな凄い戦争に見えたか?そんな悲しい状況に見えたか?こんな物「事実」って言ってギリシア人は怒らんのかね(『天と地と』も実話だけど)。ギリシアが舞台だからといってテオ・アンゲロプロスを引き合いに出すのは気の毒としても、ベルトルッチのように「歴史のうねり」が描けているわけでもなく、『シェルブールの雨傘』のように戦禍に引き裂かれた恋人達の悲しみもなく、『ゴッドファーザー』のように舞台の雰囲気があるわけでもなく(あれはイタリアだが)、『イル・ポスティーノ』のようにかき立てるイマジネーションもなく(これもイタリアだ)、金子修介のように迫力ある戦闘シーンもない。(そんな事を今のハリウッドに求めるなって)
つまりこの監督が描きたいのは「恋愛」。それも少女漫画より薄っぺらな。だったらノラ・エフロンとかロブ・ライナーの路線を目指せばいいものを、妙に文芸好きのイギリス人の血が騒ぐのか、ラブロマンスの舞台設定として戦時下やシェイクスピア等特殊な状況を選んでるだけ。この監督いつか『嵐が丘』とかやりたがるんだろうな。戦時下の恋愛物をやりたかったら初作『ゴジラ』を観て出直して来い。『ビルマの竪琴』の方がなんぼかマシじゃ。ウチのヨメなんぞ「なんだよレコード、マンドリンじゃねーのかよ」「結婚するなら100通も手紙書く前に字読めないこと気付よ」と三村ツッコミを入れてたくらいだ。
気のきいた伏線のつもりも御都合主義にしか見えない。ステレオタイプの極悪非道ドイツ軍人が主人公を救った理由は実はオーストリア人だったからでしたぁ等々。オイオイ。ドイツ人はアメリカ大使館に放火してもいいぞ。イタリア人は歌と食欲と性欲だけに生きてるんだとさ。ま、事実かもしれないけど、イタリア人もアメリカ大使館を爆破していいぞ。え?監督はイギリス人だって?いずれにせよ英語文化圏の国は他国の文化を全く理解しとらん。使用言語の問題だけではなく、そもそも同じキリスト教といえども、イタリアはカトリック、ドイツはプロテスタント、ギリシア正教に・・・(長くなるのでカットします)
これだけ書いといてナンですが、併映の1本で観たのでそれほど怒ってはいない。いっぱい書く事あってちょっと嬉しいくらい。これ単体で金払って劇場で観たら怒りまくってるだろうが、ひょっとするとビデオで観ると面白いのかも・・・?
(於:平成14年1月2日飯田橋ギンレイ)
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