[コメント] ギャラクシー・クエスト(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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過去の人気番組にすがる役者。それに熱狂しているマニアなファン。その姿を皮肉るところから映画が始まる。
追い打ちをかけるように、テレビ版にありがちな「安上がりな異星人」をパロッたサーミアン人の登場。TV番組そのものをも小バカにしているようだった。
このあまりに滑稽なサーミアン人が出てきたときはどうしようかと思ったが‥‥、でもこのキャラクター。後でだんだん効いてくるから不思議だ。このおばかなキャラクターが徐々に愛すべき存在になり、彼らを助けるために真剣味を帯びてくる役者たちの表情が、この手のSF番組を、そしてその役者やファンを受け入れていく私たち観客の気持ちの変化と、いつの間にかだぶっていく。
そして嘘を知らない彼らだからこそ、虚構を現実に変える力があったのだろう。例えばそれは、疑うことを知らない幼い子どもにとって、物語と真実の区別がないように‥‥、あるいは、いつだったろう、ある人物に、ある書物に、ある映画に人生を教えられ、影響されたあの純真だった心とかわらない。
そしてサーミアン人の信頼のまなざし。例えばそれは、幼いわが子に見つめられる親の心境に通ずるのであり、信じてくれる人のために、渾身の力を振り絞る姿は、たとえそれが嘘から始まったものであっても美しく、いつのまにか自らの気持ちの中でも真実へと昇華していくのだ。
こうして最後には、ヒーローを演ずる役者とそのファンと、そしてSF番組。そのすべてを認め、受け入れ、観客を含めたみんなの気持ちを、ひたすらあたたかく包み込み、一つの大きな調和を生み出して大団円を迎える。なんと見事な演出、素晴らしい脚本、見習うべき愛に溢れた作品だろうか!サーミアン人を含めたキャラ設定も、ちょっと安っぽい衣装やおきまり的なセットも、実は的確で秀逸な演出と思い入れの賜物だったのだ!
※ドクターラザラスが、クエレックの死に目覚めて、悪党に立ち向かう姿が好きです。
※サーミアン人のはにかむ表情、照れる仕草がとっても気に入ってます。
※『バグズライフ』を思い出す。役者たちとサーカス団、サーミアン人とアリ、悪役キャラもなんだか似てる。
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