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[コメント] 地球防衛軍(1957/日)

怪獣ものに続く特撮シリーズ。ミステリアン円盤からの怪光線は熱帯魚の泡を合成したやつだったとか。ミステリアンのドームを攻撃するマーカライトファーム(意味不明)アルファー号ベーター号の耐熱温度6000度。もうコーフンしました。と思っていたが、再見して・・・
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







阿佐ヶ谷ラピュタ、圓谷英二の技シリーズで45年ぶりに映画館で見た。

まず気がついたのは、敗戦のイメージが色濃く出ている、ということだった。逃げ回るモブシーンは終戦後の混乱を思わせる。この作品だけではなく、ゴジラ・ラドン・モスラあたりまでこの群衆シーンは定番である。

深読みをすれば、このミステリアンにはどこか太平洋戦争の勝者、アメリカ進駐軍のイメージがうかがえる。ミステリアンとの自由な結婚を認めろ、と迫り、われらが河内桃子をはじめ5人の日本女性を指名拉致監禁するあたり、戦後の占領軍の感じがする。そいつらをやっつけないと敗戦国日本の自尊心は回復されない。中盤からのミステリアンとの戦闘の展開はどこか当時のプロレスの進行に似ている。さんざんやられて最後に伝家の宝刀空手チョップをくりだす力道山にも似て、マーカライトファープ(が正しい)光線放射期限最後の1分でベータ2号発進して、必殺光線を繰り出す展開がそれだ。

それにしても、画面は構図が第一で形から入る日本文化そのものである。リアリテイはこの際問題ではない。いかに決まった構図が撮れるかが最重要事で、それがリアリティを支えているのだ。だから10万年前にミステリアンが月に秘密基地を置こうと、地球防衛軍本部にいつの間にかミステリアンの詳細な敵陣地図面が貼られていようと、もういっさいツッコミする気は起こらない。繰り返される4機のジェット戦闘機F−86が1機づつ旋回するシーン。ミサイル、オネスト・ジョン(昔は音だけで憶えていたが、これは「正直なジョン」という名のミサイルなのだ)の発射シーン。

オープニングの盆踊りからエンディングのミステリアンの円盤が1個、3個破壊消滅するシーンまではっきり憶えていた。当時小学校3年生の私はそこら中にモゲラ・ミステリアンドーム、円盤、アルファー号、マーカライトファープ、その輸送ロケットなどを繰り返し落書きするのが最上の喜びであった貧しい敗戦国日本のガキでした。

それだけ憶えているのに、私が確かにあったと思っていたシーンがない。ミステリアンの怪光線に耐えるべくベーター号の船体合金開発の耐熱温度試験シーン。私が勝手に記憶をねつ造したのであろうか。謎だ。この続編「宇宙大戦争」に出てくるのだろうか。釈然としない。

(評価:★4)

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