[コメント] そこのみにて光輝く(2013/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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家族を支えるために文字通り昼も夜も働き、弟のために愛人家業をしている千夏の生き方は美談なの?家族の基本単位は夫婦であり、父親の介護や生活費についてなんとかしなくちゃいけないのは母親の責任。その責任から逃げ出した母親の代わりに何でもやって家族をつなげようとするのは悲惨なことだ。その悲惨な生活を選んだのは千夏自身だし、そこから抜け出そうとしないのも千夏自身。そんなの嫌だ!ということもできたはずなのに、彼女はそうしなかった。じゃあ、どうしたらよかったべよ?と千夏に聞かれそうだけど。
達夫は結婚することで千夏を地獄のような生活から救おうとしているように見えるのだけど、それも美談なのか?自分の人生を仕切り直したいだけなんじゃない?
千夏には、自分の足で底なし沼の地獄生活から抜け出してほしかった。男に救い出してもらうんじゃなく。達夫と生きることで、自分の人生を生きる決意をしてほしかった。ここはうんと薄情になって自分の人生を選んでほしかった。母親や弟の人生の責任まで負う必要はないのよ、あんた。って言ってやりたい。家族を捨てたヒドイ娘だって世間から言われたっていいじゃな〜い!関係ないよ。ほんとなら達夫が言ってやんなくちゃだめなんだよ、こういうこと。ホントに救い出したいならね。
なんてことを思っていたので、きれいなラストシーンだったのにも関わらず、意味不明で戸惑ってしまった。え〜、もしかして、このラストで私に、「デメダシ、デメタシ!」って言ってほしいの?ムリ!と思ってしまった。千夏よ、あんたはどこでだって光輝ける!人に照らしてもらわなくたって輝ける!月じゃあるまいし、照らしてもらっても半分に欠けたり、三分の一になったり、あるいは見えなくなったり、そんなのつまらない。
池脇千鶴さんはさすがのうまさで、わき腹や背中の脂肪の付き具合がリアルでとってもよかったし、綾野剛くんや菅田将暉くんも、ちゃんと見たのはほとんど初めてだったけど、案外うまくて驚いたし、伊佐山ひろ子さんの無責任な母親ぶりも、高橋和也さんの歪んだ感もとってもよかった。映画としては全然悪くない、むしろよかったくらいなのだけど、私には全然ハッピーエンディングに見えなかったんだよね。
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