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[コメント] 猿の惑星 創世記(ジェネシス)(2011/米)

驚異的な知性を持った猿の出現こそがドラマであり、他に描くべきことなど何もないとばかりに、何の曲折もなく話しがトントン拍子で進み、猿の反乱にいかなる共感も感動も生まれない。あるのは、先進技術によって高度な猿回しの域におとしめられたCG知性猿の哀れ。
ぽんしゅう

シーザーのきりりと締まった知性顔と、看守の劣等感丸出しの邪悪顔を見て、昔、「知性は顔に出るんだって・・・。こまったね」という文庫本の販促キャンペーンのコピーがあったのを思い出した。CFのナレーションは桃井かおりだ。まあ、それはさておき・・・

頭の良い猿の映画ではなく、頭の良い猿と頭の悪い人間の映画が見たかった。知性を持った猿の出現に戸惑い、その存在を認めることのできない人間。つまりは、異端の存在は盲目的に排除せずにはいられないという、最も人間らしい人間の本性。そんな愚かさの自認と、あるいは自戒の提示が明確にあってこそ、CG猿は単なる見世物の域を脱し、先進技術が生んだ卓越した創作物として作品のなかでの存在意義を獲得するのだ。CG作って映画作らずの見本。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)KEI[*] 水那岐[*] disjunctive[*] けにろん[*] 緑雨[*] Orpheus おーい粗茶[*]

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