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[コメント] 八日目の蝉(2011/日)

これもひとつの母性?この映画を観て気になって気になって仕方ないこと。
ダリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







永作博美が泣き止まない赤ちゃんに慣れない手つきでミルクを飲ませたり、乳を含ませたりするシーン。

一体どうやったら、赤ちゃんをこんなにギャン泣きさせられるんだろう?と。

赤ちゃんを育てた経験のある方はおわかりいただけるだろうが、あれほどの泣き方は尋常じゃない。観ているこっちがいたたまれないほど。

それも映画の撮影ともなれば、準備や実際の撮影でかなりの時間を要するだろう。その間、あの赤ちゃんはどう扱われていたんだろう? 空腹にさせた状態で撮影に挑むとミルクを飲んでしまうだろうし、だとしたら他の方法で大泣きさせる?どこかつねったり刺したりして痛い思いをさせる?オムツを替えずに放置?まさか叩く?いずれにせよ、赤ちゃんが長時間、相当不快な状態にさらされていたことは間違いない。

想像だが、赤ちゃん役の子の実際の母親も撮影現場に来ているだろう。そのお母さんは、撮影の間、火が付いたように泣き叫び続ける我が子を見てどれほど胸を痛めただろう。我が子を大泣きさせるために他人があれこれ手を下すのを冷静に見ていられるはずがない。

また、お星さまの歌のくだりで、泣きながら繰り返し「お母さんごめんなさい」と土下座する子役。こちらも実際のお母さんが撮影現場に付き添っていたとしたら、演技とはいえ、我が子のこの姿を見てどう感じたのだろう。

子役のお母さんたちって、ある意味自身の母性を殺さないと、我が子を子役には出来ないものなのだろう。我が子がどんな扱いをされてどれほど絶叫してようが、どれほど涙を流して悲しい台詞を言わされていようが黙って耐えられる、それもひとつの母性。

……と、こんなことを考えながら少し醒めた目で観ていた私が涙腺を崩壊させたのは、ラスト付近のたった一行の台詞だった。

「この子はまだご飯を食べていないんです、よろしくお願いします」

これこそまさに「母性」だと、私は思う。

(評価:★4)

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