[コメント] NINE(2009/米)
この顔ぶれでミュージカルという時点で満ち満ちていた期待感は、冒頭20分の流麗な場面遷移でぱんぱんに膨らんだのだが…。心待ちにしていた、女優たちの「共演」が「競演」に高まる瞬間はついに訪れることなく、寸止め感を残したまま映画は終わってしまった。
滑り出しは快調。デイ・ルイスの軽妙な受け答えに酔う記者会見に、女優揃い踏みの顔見世プレビューのミュージカルシーンが重なる。会見を抜け出し、オープンカーでローマの街並みを抜け、海岸沿いのカーブを曲がると青い海と崖に張り付く瀟洒なリゾートが現れる。このあたりで高揚感は最高潮。その後に続く、機転の利くホテルフロントマンとの会話も楽しい。
以降、女優たちのソロでの見せ場が連なる。それぞれに魅力的ではある。特にケイト・ハドソンの明朗でファニーなステージがいい。だけど、どうにも寸止め感が残る。マネジメント的に難しいのは容易に想像できるが、女優たちの見せ場が如何にも並立的。せめてマリオンとペネロペ、マリオンとニコール、といった組み合わせでの「対決」が観たかった。グイドの少年時代の回想シーンも凡庸、あれじゃあいかにも物足りない。最後、カーテンコール的に大セットにキャスト勢揃いするのも壮観だったが、もうひと押し欲しかった。
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