[コメント] ハプニング(2008/米)
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まず、劇中で推測される原因の数々のどれもがあくまでその推測の域を出ない、終始ベールに包まれて終わるのが良い。これが明確に植物が放つ毒素だったりCIAや原発の影響だった事にしていたら、それこそ「なんだそりゃ。引っ張りすぎだろそれじゃ」となってしまう。最後まで謎を引っ張って、ラスト「実はこうでした!」というコントじみたまねはもう卒業!と言わんばかりに、期待に胸躍らせる観客に投じたありふれた幕引き。ただ、他国もまた自殺見本市と化すラストは本当は監督にとってはもうどうでもいい事なのかもしれない。なんかそんな感じがした。だってその前の子供を学校へ送り出し〜妊娠したよニッコリの一連のシーンがやたら丁寧に情感こもらせてるんで、ああ、監督はあのシーンを撮りたいが為に、様々な“死”の映像を見せ付けたんだと。ほんの些細なウソの告白そして許し・親友との約束・そして平凡だが幸せな日常。これらすごく純粋なものを浮かび上がらせるには、人智の及ばないスーパーナチュラルで惨劇をこれでもかと見せ付ける。まあ、不器用といえば不器用な見せ方で、なんかお子ちゃまっぽい作劇かもだが、これこそがシャマラン流と言えるのではないかな。この現代人が忘れかけている小さな何かを描くにあたり、壮大な設定を用意する。その意味深かどうか微妙なキーワード群も好き。もうドンデン返しがシャマラン流ではない。この監督、今回のホラータッチの冴えも含め、個人的にはいい流れで来ていると思う。
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