[コメント] ランボー 最後の戦場(2008/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画のスゴいところは敵対勢力の「鬼畜化」を徹底し、「どんな非道な人間にも生きる権利はある」というようなスタンスの真逆を全速力で走りきったことだ。いわゆる悪役と呼ばれる存在でも、たいてい少なからずマトモな面があるものだが、この映画には全くそれがない。レイプ・・・斬首・・・子供を刺し殺す・・・地雷のある場所を歩かせる・・・、ヒドいこと「しか」していないのだ。ミャンマー(ビルマ)の一部で起きている現実は確かにヒドいのかもしれないが、それにしてもという残虐さ。純度100%の「悪」である。
例えば、観客に「彼ら(敵対勢力)は彼らなりに自分たちの正義を実行しているんだな」とか、「悪いヤツだけどマヌケで憎めないな」とかいう認識をさせない。「ここまでヤられたら、ヤりかえすしかねえな」という方向に観客を誘導しているとしか思えないつくりになっている。命乞いすら、させない。この映画を簡単にまとめると、「極悪な連中がいたのでボコボコにして、その後なんとなく帰郷しました。 ランボー」という映画である。
・・・はっきり言って21世紀にもなって、こんなやりかたをするのは大バカか天才だ。だが「私、平和主義者ですよ」みたいな顔しといてノルマンディー上陸作戦の「再現」に熱中している人間よりも、よっぽど自分の主張を明確に表現していると思う(その主張の是非は置いといて)。映画の前半で、あくまで「暴力」という解決方法を否定する(しかし、他の有効な方法を提示出来ない)他のボランティアたちの一方で、「オレにはコレしか出来ないんだ」とでも言わんばかりのランボーの表情は、スタローンそのものと言えるだろう。交渉に応じるような相手ではないし、そもそもマトモなコミュニケーションもとれない、そんな自分に何が出来るのか・・・そして、ランボーは「やるべきこと」を実行する。
ベラベラと言い訳も説教もせず・・・よくやったよ、アンタは。
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