[コメント] ゾンビ(1978/米=伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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一作目『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、一軒家に迫り来るゾンビをひたすら撃退するお話でした。無駄な遊びの無い、「ホラー」映画としての出来は本作『ゾンビ』より上かもしれません。ですが舞台設定の魅力から、自分はこちらに軍配を上げたいと思います。
何しろ「モールに立て篭もって好き放題、遣りたいホーダイ享楽的生活」とは、少年期いや今でも変わらぬ自分の夢であり願望であります。だからこれを大量消費社会への批判とか、そういう批判的視点で読み解く気にはなれず、むしろ『ビューティフル・ドリーマー』の「終わらない学園祭前夜」と同じモラトリアムの理想郷として、憧憬を持って見てしまいます。暴走軍団が攻め込んで来た時、ヘリ坊やが口走る「ちくしょう、俺のもんだ」という台詞。「お前のものちゃうやんけ」と突っ込むなかれ。折角作り上げた砂のお城。それを踏みにじられる哀しみ・怒り。分かる、分かるぞーと。
あと感心するのが、アクション映画として観客に空間を把握させる上手さ。モール内のゾンビを駆逐する戦いにせよ、外でのトラックを強奪する作戦にしろ、事前にキチンと建物の構造を提示した上で行われるので、「誰が何処で何をしようとしているのか」明確であり、手に汗握って見ることが出来ます。
ラストも良いです。一度は死を受け入れようとしたSWATのあんちゃんが、土壇場で生にしがみ付く。
「燃料は?」「あまりないわ」「…まあいいさ」
そして舞い上がるヘリ。うーん、完璧です。
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