shionoさんのコメント: 投票数順
チェンジリング(2008/米) | シングルマザーでなおかつ電信電話という先端企業の女性主任であるアンジェリーナ・ジョリーは、その先進性ゆえに事件の矢面に立たされているかのように見える(雑談を追記しました)。 [review] | [投票(24)] | |
グラン・トリノ(2008/米) | 決して完璧な映画ではないし、気になる粗もあるのだが、それなのにこれほどの豊かな余韻を得られたことが驚きだ。映画の何を知っていたのだろう、と実に新鮮な気持ちにさせてくれた新たなる傑作。(考察を追記しました。) [review] | [投票(22)] | |
ノーカントリー(2007/米) | 最高に面白い。コーエン兄弟は社会派ではないから、アントン・シガーの行動原則にキリスト教的原罪意識を絡ませたりしない。生粋のストーリーテラーというわけでもないので、物語を収束させることも嫌う。 [review] | [投票(22)] | |
デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米) | 女性キャストがみな素晴らしい。前半、延々と続く会話劇を見ていると、台詞というものが、ストーリーを進行させるためではなく、キャラクターに血肉を通わせるために機能していることに気付く。だからクライマックスのスタントシーンではガッツリ感情移入してしまった。 [review] | [投票(17)] | |
アイ・アム・レジェンド(2007/米) | ウィル・スミスはいい。NYの街も見せ所だ。だが作品はレジェンドの名に値しない。 [review] | [投票(16)] | |
バベル(2006/仏=米=メキシコ) | イニャリトゥ監督の志の高さは尊敬に値する。従来の方法論を押し進め、ストーリーテリングの強度をも掴んだ成功作。実験的側面もまた作家の勇気と受け取った。 [review] | [投票(15)] | |
アイアンマン(2008/米) | これはテーマではなく、キャラクターとシチュエーションの映画である。ここに漂うユーモアのセンスはハワード・ホークスのコメディのように知的な含み笑いを誘うものであり、それはひとえに役者の芝居の豊かさによってもたらされている。 [review] | [投票(12)] | |
アフタースクール(2008/日) | これが小説なら”このミス”級のベストセラーだが、この仕掛けのおもしろさは映像ならではのもの。芝居がいいが、舞台演劇では出せない空間描写と繊細な感情表現の演出もある。発想の源泉が純粋に映画的なのが嬉しい。この人肌の雰囲気は他のメディアでは出せないだろう。 [review] | [投票(12)] | |
クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米) | 素人ビデオを装っていながら、マスターショット一本の長回し移動撮影という技法は、カサヴェテスが撮ったパニック映画みたいでおもしろい。だがシナリオの弱さはいかんともしがたいところ。 [review] | [投票(12)] | |
オーケストラ!(2009/仏) | ちょっとトミー・リー・ジョーンズ似のゆるキャラ主人公が織り成すハートフル音楽ドラマというルックスの下に、質実剛健な歴史認証が垣間見える。観客のミスリードを誘う脚本のうまさも特筆もの。 [review] | [投票(11)] | |
インビクタス 負けざる者たち(2009/米) | その巧さが指摘できないほど巧い。実話ベースの映画としては硫黄島はもとより「チェンジリング」よりも上だと思う。マンデラという人物、フリーマンという役者、それに「グラン・トリノ」でつけた落とし前が、イーストウッドを更に進化させた。観客の評価はこの映画の政治的志向性を反映するだろうが、この映画は政治的なものとして見られることをまったく恐れてはいない。それは映画の力ではないか?私はそのことに感動する。 [review] | [投票(11)] | |
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007/米) | 序盤の写実的描写には惚れ惚れするし、中盤まではドラマ性の高さと子役の良さで引き込まれていったが、そこから先が一筋縄ではいかない、面白くも奇妙な映画だ。 [review] | [投票(11)] | |
第9地区(2009/米=ニュージーランド) | ブロムカンプ監督の演出力には圧倒される。終盤の戦闘シーンでクリシェに陥るものの、テーマが屹立するラストの余韻は奥深い。SF好きの観客ならば、劇中で流れる72時間の背景に、数万年規模のタイムスケールの存在を感じるだろう(エイリアンと人類の関係について追記しました)。 [review] | [投票(10)] | |
ダイ・ハード4.0(2007/米) | ワイズマン監督の格段の進歩に驚いた。ジョナサン・モストウの重量級メカアクションと、ポール・グリーングラスの臨場感溢れるスタントアクション、マイケル・マンばりのガンファイトと、近年のアクション映画のいいところ取り。 [review] | [投票(10)] | |
マイレージ、マイライフ(2009/米) | 寒色の後味だが余韻は深い。雲上人ジョージ・クルーニーは他人の人生の岐路に突然現れるエンジェルである。 [review] | [投票(9)] | |
ターミネーター4(2009/米) | 子供向けの演出だから駄作とは呼ばないが、しかし呆れた。キャラクターがストーリーを説明する道具でしかない。我々はマシーンではなく人間だ、というベールの叫びが空しい。 [review] | [投票(9)] | |
スター・トレック(2009/米) | JJの演出は期待通りだし、何より映画の内側と外側を貫く継承というテーマに涙が溢れて止まらなかった。これほど感動的なキャラクターの引継ぎというのはそうそうあるものではない。 [review] | [投票(9)] | |
ウォンテッド(2008/米) | アンジェリーナ・ジョリーのヘン顔を笑って見てればいいのかな、と楽に構えていたら、予想外にヘヴィな世界観に敬服した。つまりこれは、オーソン・ウェルズの『審判』なのですね(なぜ弾丸が曲がるのかについての考察を加筆しました)。 [review] | [投票(9)] | |
4ヶ月、3週と2日(2007/ルーマニア) | ヘヴィで緊張感溢れる体験型スリラー。描かれるのはとても個人的で短い時間の出来事であるが、ヒロインを中心として再構成されるその世界には、普遍的な人間の歴史が横たわっている。 [review] | [投票(9)] | |
人のセックスを笑うな(2007/日) | すべてのシーン、すべてのカットが映画的緊張感に溢れている。固定・引き・長回しカメラが全体の大部分を占め、その中で人物の動きのおもしろさを引き出していく人間観察の妙はさらに進化している。古典的映画技法は的確かつ厳密に実践してこそ意味があるし、またそのようにしてできた映画は、その脱力系のルックスとは別の次元で、実に力強く凛々しい。 [review] | [投票(9)] |