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shionoさんのコメント: 投票数順

★4ブレックファスト・クラブ(1985/米)終盤も期待を裏切らないが、前半30分の爆笑ものの会話劇、中盤30分の室内空間の使い方と、それぞれの面白さが楽しめる逸品。 [review][投票]
★3マックQ(1973/米)一匹狼がバッヂを返上して単独捜査というお決まりのパターンも、この頃のジョン・ウェインがやると定年退職後に見えて侘しい。伝を辿るプロセスが懐古的なのだ。だが酒場の女コリーン・デューハーストとのシーンは極めてテンションが高く、劇中時間が100年巻き戻されたかのようなムードに目頭が熱くなる。[投票]
★3番場の忠太郎(1955/日)他生の縁あっても干渉し過ぎない人間関係、成瀬映画を思わせる情に溺れない演出がいい。二人三脚で書く凶状書面は業の深さを感じさせ、忠太郎の恨みつらみを未来へと続く継続的な心の痛みとすることで、カタルシスとは真逆のリアリズムを表出させている。[投票]
★5グラインドハウス(2007/米)カルト的偏愛を装ったA級作品。かつて、映画が絵画や演劇からの影響を受けたように、ここには映画史直系のアイディアや興奮が詰まっている。オマージュの域を越え、これはこれでひとつの表現主義であり、映画的審美主義といっていいと思う。[投票]
★3やわらかい生活(2005/日)終盤、寺島が一人になってからの踏切でのショットなどはハッとさせられるし、ラストシーンの哀切も効いているのだが、喪失感の演出に必ずしも長尺が必要ではないだろう。寺島と豊川の二人のドラマを小さくまとめ、『ヴァイブレータ』姉妹編として成立させたらよかったのにと思う。[投票]
★3ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン(2005/米)伝記映画としてのスケールには乏しいが、演出家が役者の熱意を引き出していて、生きのいい若者の生態が描かれている。主人公寄りのパーソナルな物語を語るのがこの監督の持ち味だろう。一方、出来事の経緯を勝手に飛ばしてしまう傲慢さも見受けられる(特にテレンス・ハワード登場以降)。こういう省略の仕方は映画的ではなくテレビ的といえる。[投票]
★3世界最速のインディアン(2005/米=ニュージーランド)方向性としてはファミリー向けのハートウォーミング路線で、序盤の奇人主人公の紹介エピソードは大甘だが、渡米してからは締まりが出る。旅先でのマイノリティとの交流を経て、ホプキンスのスピーチが乗ってくる後半は嫌味がなく素直に楽しめた。ソルトプレーンの景観も圧倒的だし、インディアン号もフォトジェニックなのだが、その撮り方はやや平凡。枯れたホプキンスのキャラクターも含め、中庸が魅力と言える良作だった。 [review][投票]
★4善き人のためのソナタ(2006/独)軽薄な大作映画と癖のある作家映画の二極分化にあって、EU発でこのような主流派エンタテイメントが出てくるのは嬉しいことだ。制作規模をハリウッド映画に喩えるならば、スタジオを手堅く儲けさせる中堅娯楽作に相当するだろうが、素材としての東ドイツはやはり自国の映画人によって語られるべきで、そうした作り手の熱意も感じられる秀作である。[投票]
★3ザ・シューター 極大射程(2007/米=カナダ)原作を知る者にとって第一の関心はキャスティングだろう。適役度合いが100%に近ければいいというものではなく、むしろある程度のズレを展開してオリジナリティを目指すところに映画化の意味がある。その点でウォールバーグのヒーロー像は満足のいくもので、さして誉めるところのない演出でも見ていられるのは大したものだ。 [review][投票]
★4トランザム7000(1977/米)サリー・フィールドのルックス、カメラ目線のレイノルズ、林道を疾走する車に生きのいい会話の応酬と、『デス・プルーフ』のダディともいえる一本。カーチェイスを題材としながら主役は人物にあり、コンボイから顔を出すドライバーの顔とエアホーンの響きもなんとも人懐こい。[投票]
★3スローなブギにしてくれ(1981/日)藤田監督は流れの中でキャラを立ち上げる術に長けている。浅野温子は堂々とした存在感だが隙がなく、秋吉久美子や森下愛子のような無防備な顔は見せてくれない。 山崎、古尾谷はともに良く、それに輪をかけて室田日出男のマスターがいい味を出している。[投票]
★4大菩薩峠(1966/日)戦国絵巻に描かれるような、敵の首を斬った武将の腹に槍が刺さるといった地獄絵図の中、最終的に生死を分けるのは、己の剣の腕よりも時の運だという。だから戦に臨む武士は虚無の心境になるというが、本作の仲代達矢はまさにそれ。このキャラクター造形がクロサワとタランティーノを繋ぐ掛け橋だと思う。[投票]
★2ミッドナイト イーグル(2007/日)槍〜穂高の空撮目当てだったが、無残な失敗作。キャラクターが動いていない、生き生きしていない。山岳班は喋り芝居が多く、アクションはほぼ皆無。東京班は編集長と絡む竹内結子がチャーミングという程度。彼女はテレビの告知で桃缶のシーンが見せ場と言っていたが、そのとおりだと思った。[投票]
★3帰らざる日々(1978/日)あぁ日本映画の語り口だなと思う。言うなれば内向的叙情性なのだが、この映画がそれでも作品として外部に開かれたものになっているのは、ひたすらに作り物であることを謳歌しているからだ。力のある作り手の職人芸にいつの間にか乗せられていた。[投票]
★3虹の女神(2006/日)ストーリーテリングではなく雰囲気主体のどうってことない映画だが、その雰囲気作りには見るべきものがある。それを支えているのはジンジャー・ロジャースのような親しみやすく健康的な上野樹里の肉体性と、篠田昇トリビュートともいえる温もりのカメラワーク。自意識希薄でも生気ある市原隼人のキャラもマル。いい役者さんだ。 [review][投票]
★3マッチポイント(2005/英=米=ルクセンブルク)舞台劇翻案スタイルの演出による時間と空間の圧縮、持続する会話でのエモーションの醸成と、英国産ドラマを順当に踏襲しているが、中盤以降のサスペンドとツイストしたエンディングはさしてうまくない。ヨハンソンの雨の麦畑の濡れ場がピークだったかな。[投票]
★2萌の朱雀(1997/日)画が汚い、といって悪ければ説明的、言語的。シナリオをただ映像化しただけの極めて退屈な凡作で、映画的創意工夫の痕跡が感じられない。[投票]
★3リトル・ロマンス(1979/米)人物像は平板だし会話もつまらない。実体験に根ざしたかのようなトリュフォー、コッポラらの青春映画の切なさは皆無だが、ダイアン・レインが実に可愛らしくて幸福な作品に仕上がっている。[投票]
★2マイアミ・バイス(2006/独=米)溶岩流のように真っ赤に燃える街の灯りとか、夜空に浮かぶ紫色の雲といった、デジタルビデオによる粒子の粗い高感度撮影が斬新だ。だが肝心の中身がタコ。潜入捜査も恋も危うい綱渡りのはずなのに、コリン・ファレルのキャラが頭悪すぎて危険な香りがただよってこない。[投票]
★5次郎長三国志・次郎長売出す(1952/日)フォードの『アパッチ砦』の決して理解しあえない対立関係もまた真実なら、喧嘩の調停をする次郎長の相互理解もまた真実。どちらも男の政治として一本筋が通っている。この先一家の顔となる面々の紹介も兼ねたマキノ次郎長ワールドの軽妙なるイントロダクション。[投票]