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ワルキューレ(2008/米=独) | 導入部は史劇に取り組む気概も感じられたが、作戦決行前の優雅な倦怠が退屈。終盤になってようやく綱渡りのサスペンスが味わえる。眼帯、義眼といったアイテムはもっとヒロイックに扱ってもいいと思う。 [review] | [投票(1)] | |
パラノイドパーク(2007/仏=米) | よくこなれている小品。私小説的な一人称の語り口が、青春映画にありがちな教訓臭を消している。審美的な映像も少女趣味として見れば、その計算された構成は上手いと思う。 [review] | [投票(1)] | |
ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008/米) | 事象を描くことにはそれなりに長けていると思うが、フィンチャーにヒューマンドラマは無理。育ての母タラジ・P・ヘンソン、タグボートの船長ジャレッド・ハリス、そして極めつけティルダ・スウィントンという役者たちの芝居が生殺しだ。 [review] | [投票(1)] | |
サイドカーに犬(2007/日) | 過去を美化しないという演出方針ゆえ、子どもの頃のヒロインは、成人してからの彼女の視点・価値観・物の考え方によって汚染されている。 [review] | [投票(1)] | |
インベージョン(2007/米) | 序盤のオフィスで患者と対面するニコール・キッドマンの、小首を傾げる定番ポーズからして、銀幕のファム・ファタールとしての彼女の特質をよくフィーチャーしていると思う。 [review] | [投票(1)] | |
真実の行方(1996/米) | エドワード・ノートン絡みの脚色・演出の稚拙さを見るにつけ、彼はいったい何に対して奉仕しているのか、誰が得をするのだろうかなどといろいろ考えさせられてしまう。 [review] | [投票(1)] | |
ミスト(2007/米) | スピルバーグ『宇宙戦争』が描いていたガラス一枚で隔てられた脆弱な平穏、その陰画のごとくダラボンは冒頭から盛大に窓ガラスを打ち破って見せる。 [review] | [投票(1)] | |
あるスキャンダルの覚え書き(2006/英) | 短いカットの積み重ねで芝居の情感を断ち切っているが、ドライで突き放したタッチというわけではなく、ディンチのナレーションとフィリップ・グラスの音楽が感動を押し付ける。この監督はまともな演出ができていない。役者が気の毒だ。 | [投票(1)] | |
メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬(2005/米=仏) | 不法移民の流入という政治性を背景とした本作を、修正主義西部劇のようなアメリカ人とメキシコ人の交流のドラマとみなす事も可能ではある。しかしこれは、テキサス州の国境の町を覆う現代の陰鬱をアメリカの文脈で描写した、いささか回顧的な開拓者精神についての映画である。 [review] | [投票(1)] | |
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/日) | アニメーション映画は、演繹的推論によって構築されたロールプレイングゲームのような世界との相性がいい(それは概念としての「キャメラ」の不在によるものだ)。エヴァの革新性は、この演繹法が主人公のキャラクターを侵食するレヴェルまで高められているところである。アニメーションという手法を脱構築しているように見えるのだ。 | [投票(1)] | |
ラブソングができるまで(2007/米) | ラブコメというジャンルは、映画におけるポピュラー音楽のようなものだ。すぐに忘れ去られてしまう紙クズの中に、時たまキラリと心に響くものがある。 [review] | [投票(1)] | |
ミリオンダラー・ベイビー(2004/米) | 好きな映画だから三度、四度と見直すと、弱い部分も見えてくる。この作品が傑作たり得たのは、脇役が不在だからだ。 [review] | [投票(1)] | |
気のいい女たち(1960/仏=伊) | モノクロのフィルムを見ていると、時に既視感めいた思いが湧き上がることがある。この映画のパリジェンヌたちと、鈴木英夫や市川崑の映画の、我がニッポンの若い女性たちの日常の暮らしぶりの類似性に、郷愁と愛着の感情を覚えずにはいられないのだ。職場における雑談や、動物園、演芸場、レストランといった余暇の過ごし方がこれほど身近に感じられるのは驚きだ。 [review] | [投票(1)] | |
コレクションする女(1967/仏) | 映画は概念を表現することができる、とはエイゼンシュタインの言葉だが、ロメールの映画を見ていると、官能性や観念性とは切り離されたエロスという概念が感じ取れるようだ。それは生命の息吹といってもいいかもしれない。 [review] | [投票(1)] | |
クレールの膝(1970/仏) | 劇中描かれる30日間で何事も変化させず、ただ主人公のキャラクターを見せていくためだけのシンプルさは、どう見せるかというロメールの仕掛けを読み解く上でとても興味深い。 [review] | [投票(1)] | |
あの頃ペニー・レインと(2000/米) | 久々にDVDで見直した。視点人物がパトリック・フュジットからビリー・クラダップにシフトするNY以降の展開に納得。少年の成長ではなく、青年が童心に返る話なのだ。その道具立てとしてのロックと恋。だから甘い感傷に気持ちを委ねるのが心地よい。 [review] | [投票(1)] | |
フィクサー(2007/米) | 脚本、演出、演技とも一級品。社会の闇を心の闇に転換する現代的なハードボイルドタッチは、心理描写をせずに人物の内面をその行動から描き出す。 [review] | [投票(1)] | |
守護神(2006/米) | WOWOWで見たからということもあるが、暑苦しくなく、意外に楽しめた。『ダンス・ウィズ・ウルブス』のごとく、孤独な生き様と神秘主義の組み合わせが成功すると、コスナーはその本領を発揮する。師弟関係とトラウマはその見せ方がうまいし、カヤッカー救助のロケ撮影も迫力があった。世代交代の結末もさほど悪くない。 | [投票(1)] | |
フラガール(2006/日) | 郷土史から目を背けているから人間が空疎で、感動シーンで心が動かない。そういうつくりの映画だとしても、ストーリーテリングが適当すぎる。 | [投票(1)] | |
それでもボクはやってない(2007/日) | 作り手の明確な目的意識が結実した作品として、その存在価値は大きい。広く世に問う告発目的というより、観客一人一人に感じて考えて欲しい、という監督の方向性が一貫して貫かれている。 [review] | [投票(1)] |