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けにろんさんのコメント: 更新順

★4ペーパーボーイ 真夏の引力(2012/米)何も一から十まで描かずともよいが『おもいでの夏』的側面が主線である以上キッドマンの獄中犯マニアである心的内面に今ひとつの突っ込みが欲しかった。終盤が切ないだけに尚更。真夏の倦怠を弥増す変態ショーは本命キューザック大穴マコノヒー[投票(1)]
★3第七の封印(1956/スウェーデン)戦禍の疲弊と疫病の蔓延と邪教の侵食に晒され、そういう時代に終末を諦念で迎える騎士に、死神を敢えて具現化し対峙させる要があったのか。どうにも悲嘆と嘲笑のスタンスが曖昧でしっくりこない。一座のロードムービーとしても『魔術師』の方が純度が高い。[投票]
★5八月の狂詩曲(1991/日)黒澤の周回遅れの幼児性と残存した先鋭の切れ味が錯綜して化学反応でも起こしかねない予兆がある。意図したズレでなく真剣に撮ってズレており予定調和的でない。蟻と薔薇や老婆の対峙や過剰な風雨などの前衛を差し挟む児童映画的な真夏の草いきれの静謐。[投票(1)]
★3ベルリンファイル(2013/韓国)序盤から世界中の対立軸をテンコ盛りに登場させてはみたが、とっ散らかしただけで俯瞰的視座が無く設定は雲散霧消。結局、中盤以後は得意分野の男と女と骨肉相食む兄弟の確執に終始。それでも、刹那を体現する役者は良い。特にジヒョンスンボム[投票(1)]
★3パシフィック・リム(2013/米)ヘリで吊り下げ移送する絵やギッコンバッタン足踏み操縦の真剣さに局所では愛を感じるのだが、ジャンルへの横断的なリスペクトを謳いつつも所詮は『エヴァ』1本かぶりの底浅を露呈するにつれ俺の期待は急速冷却された。ゲーム仕様のマニュアル感も気になる。[投票(6)]
★3スルー・ザ・ワイヤー(1987/フィンランド)気の利いたミュージック・クリップではあるが、逃亡する脱獄囚ってのが如何にもな設定で無常の中に有情を見出すカウリスマキの愛すべき資質が発揮されたとは言い難いだろう。ズレた諧謔は未だ見出せず流された感が払拭できず有体に言えば何の変哲もない。[投票]
★4フォレスト・ガンプ 一期一会(1994/米)為すがままの逍遥たる人生を語るに色目を使い過ぎ。ニュース映像とのCG合成には悪ふざけでしかなく、藁しべ長者的成功譚である必要すらない。所詮これは、ロックに彩られたアメリカ近代史の全肯定。ただ舞い散るしかないガンプの哀しみの意図せざる余韻。[投票]
★4SAFE セイフ(2012/米)ロシアや中国のマフィアに拮抗する3枚目のカードが汚職警官ってのが新味で三つ巴の混沌感をいや増させている。とにかく殺戮への躊躇がなく好テンポで、アクション演出に於ける手持ち長廻しとズームダウンが高度に意識的。女の子が可愛くないのが又いいね。[投票]
★4ローズマリーの赤ちゃん(1968/米)メジャー仕様の『反撥』焼き直しで、決定的に主人公の追い込みが緩いのだが、自壊するのではなく他者からの侵食によるあたり、米国に内在するトラウマを焙り出している。ジャジーな雰囲気と随所のポランスキー流夢幻のイメージショットが懐旧的な味わい。[投票]
★5日本のいちばん長い日(1967/日)怒涛の切迫の中、抗戦・終戦の軋轢が苦渋の汗と妄信の怒声と狂気の殺戮を伴い錯綜。喜八ピークの編集テクが俯瞰の視座に結実した映画史的僥倖。局面に埋れた史実に言及する大講談で庶民不在を誹るのは筋が違う。パノラミック且つファナティックな傑作。[投票(5)]
★2バイオハザードV リトリビューション(2012/米=カナダ=独)脳内で構築された世界に屋上屋を重ね、もはや余人の与り知らぬ妄想世界に突入。それが、斬新ならともかく、過去作のキャラ総動員的なアイデア枯渇展開とあった日にゃあ目も当てられない。大体ミラ始めド素人連中が決めポーズだけ格好つけてもダメなのよ。[投票]
★4さよなら渓谷(2013/日)砂の器』よろしく付加された「道行き」が受難と贖罪に纏わる怨恨パワーの凝結を示現して宗教的荘厳にまで至るかの見せ場なのだが、それでも、そこを敢えて描かない原作の志が高く見えてしまう。とは言え、全篇、画面に漲る弩級の充実は本当に素晴らしい。[投票(2)]
★2少女娼婦 けものみち(1980/日)少女が男を乗り変えるに際してのスッタモンダを持って回った観念劇エッセンスで修飾して可愛げが無い。加えて、母親との関係描写がでてくると益々何が何だか解んない世界で、煙に巻く寺山なら未だしも神代では見てられない。虚無的な内田は良い。[投票]
★3白雪姫と鏡の女王(2012/米)ティム・バートンテリー・ギリアムが遣り尽くしたジャンル攻略に新たな趣向が加味されたわけでもない。刺激度ゼロ。フィル・コリンズの娘の育ちの良さ気な物怖じの無さと凛とした太眉が唯一の見所か。ジュリアは継子苛めのガラじゃない。[投票]
★53人のアンヌ(2012/韓国)歩行運動の反復を繋ぎとして多用する点もあるが、俯瞰的物言いに全く嫌味がない点に於いてロメール的だと言っておこう。異郷で人は仮面を脱ぐ。当て書きされたかのような自我演技の狭間から生身の可愛い女が顔を出す。こんなユペール見たことない。[投票(1)]
★2スプリング・ブレイカーズ(2012/米)ヤリマンのズベ公たちがSEXバケーションの為にダイナー強盗…とまあ、掴みはエクスプロイテーション映画の王道に準拠するが、まーったくその後が転がらない。転がらないどころか女々しくシミッたれている。ダメ男を演じたフランコは一応ダメに力演。[投票]
★5シェルタリング・スカイ(1990/英)愛の儚い残滓を観念で希求しても、結局その不在を確認する道行でしかない。相手の死により終焉するどころか、最果ての砂漠の深遠に埋没し、その先の行くところまで行く。この感覚が堪らない。『ラストタンゴ・イン・パリ』と並ぶベルトルッチ的実存主義。[投票(3)]
★3タイムマシン(2002/米)原作未読で予想外の展開に戸惑う。我々凡人には有史のスパンでしか想像がつかないのに、いきなり80万年後と来た日にゃあ呆然とする。新解釈を極力廃した世界は『猿の惑星』を筆頭にした派生のオリジナルだとしても、古典の格を付与することは今更適わない。[投票]
★4やがて哀しき復讐者(2011/中国=香港)傲慢でイケ好かない親爺とパープー娘がどうなっても知ったこっちゃないが、そんな親子に粛々と仕えるリッチー・レンの佇まいが粋。過剰なセンチやプロットの安さはあるが、開発担当の部下やシングルマザーの内通者や来歴が語られない犯人。歪な魅力満載。[投票]
★3紅の豚(1992/日)小っ恥ずかしいダンディズムを豚姿で婉曲化しても尚小っ恥ずかしい。出来レースの緩い世界観が支配する中、剥き身の相克から遠いのだから仕方ない。その世界の片隅の陽光下の静謐めいた精緻な描写への拘り。ミクロな技術が生温い世界の箍を随所で締めている。[投票]