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けにろんさんのコメント: 更新順

★3陥し穴と振り子(1983/チェコスロバキア)設定に関して驚きは無いものの、拷問機械の子供じみた悪魔チックデザインの御愛嬌を舐めてるうち執拗に反復運動を繰り返し迫り来るそれが平衡感覚を麻痺させる。平常心は次第に蝕まれ判断力は夢幻の彼方に葬られる。その点で本質を衝いているのかもしれない。[投票]
★3最も危険な遊戯(1978/日)大の大人の殺し屋ごっこ的全篇に蔓延するチャチさ・イーカゲンさを一周回して優作映画なのだからと納得させるカリスマは解ったことにしても尚けっこうダルい。有名な病院の階段に於ける手持ちの長回しは相米的に凄いけど、そこだけだとも言えるかも。[投票(1)]
★3駆込み女と駆出し男(2015/日)愚劣な圧制に抗する義賊や理不尽な弾圧に虐げらる切支丹を点描しながらDVネタを主軸に据える強弱感へのセンスはやっぱ原田には無いと思う。仕組みに欠けると言う以前に表層にしか興味が無さそうな本質が露呈する。審問会の大仰なロケセットが虚仮威し。[投票(1)]
★3人間の條件 第5部死の脱出・第6部曠野の彷徨(1961/日)裂帛の気合が引き続き漲るのだが、それが概ねマイナスベクトルな敗北の終焉へと向かうものだから圧力に打ち負かされた疲弊感が勝ってしまう。極限の状況下では良識など無意味であることを描いた点で幾千もの浅薄な教条主義的代物とは遥か一線を画しているが。[投票]
★5フルスタリョフ、車を!(1998/仏=露)脇かと思えた絶倫ハゲ親爺が主役と解るころ猥雑と過剰のカオスに巻き込まれ脳内マヒ状態に陥るが、一方ハイキー&エッジ効いたモノクロカメラ使いの想外の手管に幻惑させられる。物語の騒乱のあとの諦観的帰結は見てくれ『サテリコン』な本質『甘い生活』か。[投票(1)]
★3Aサインデイズ(1989/日)安奈の成功もの没落も或いはその対比もズバリそこを描ききるという口八丁で物語る気概が見えず締まらない。が、このジャンルの日本映画としては比較的違和感無く見れ小っ恥ずかしくない。主役2人も良さもあるが日本ばなれした沖縄のムードの功大。[投票]
★3寄生獣 完結編(2014/日)3段重ねのクライマックスが用意されるのだが、尺関係で概ね駆け足的描写不足なので何がしかの訴求力は深津絡みにしか無い。寧ろ、そこだけがこの完結編の美点かもしれない。前編にあったアクション編集の醍醐味は消失しハリウッドの劣化模倣と化した。[投票(1)]
★2トゥームストーン(1993/米)史実を冗長に擬えただけのウエスタンごっこの小手先紙芝居。講談と割り切ってみせるプロ根性も新解釈でもとの気概も無くて大見得張ってみせてもどっチラケである。都会チックなキルマービーンも役者としては好きだが西部って柄じゃないんだよな。[投票]
★3山の音(1954/日)上原の下衆ぶりに呵責が無く冷徹な視線は透徹されてるのだが、反する2人の感情ベクトルが嫁不憫・義父優しいの域を出ないので生煮えである。その奥底のマグマを対置的に照射すべき山麓の静謐が演出的にこなれていない。際どくないのでラストも効かない。[投票(2)]
★3陰陽師(2001/日)唯我独尊な晴明に博雅というキャラを噛ませ過ぎウェットになった。このバディもの的体裁は原作からの踏襲だが、方向性が無駄に拡散してしまう。悪の陰陽師との対立構図も映画をありきたりに堕した。期待もしてないがCGもワイヤーも所詮二番煎じで情けない。[投票]
★5マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英)最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好ましい。年増女優陣のセレクトも良。[投票(3)]
★2雷電(1994/日)どう転がしてもロクな話になりそもない設定からしてシャレにもなりよがないカス話は仕方ないが、それにしてもプログラムピクチャーの枠組みに安住し切っている。下降曲線を自覚せぬ赤井の昼行燈では為す術もないにせよ何かやったろうの気概が微塵もない。[投票]
★3地下室の怪(1983/チェコスロバキア)泰山鳴動ポテト1個ってな感じで、所詮他人の夢話なんてそんなもんだと思う。前段の爺さん婆さんの悪魔チック所業と後段の漫画チックな怪異は地続きな感じがせず離反しまくりで見事にバラバラ。だが、意外に肝の据った女の子のナチュラリズムが一貫性を付与。[投票]
★313デイズ(2000/米)好戦ポピュリズムに抗して理を通す困難と孤独を余すことなく描いているが、側近で助言者である語り部と弟、この3者間の信頼と共振が仄暖かく救われる。しかし、室内ディベート劇に徹し切れないパイロットエピソードの挿入などが商業主義的妥協を感じさせる。[投票]
★4セッション(2014/米)父親や恋人との関係性が放っぽられる腑に落ちなさが3転するクライマックスの怒涛の感情振幅に上塗りされまあええかとなる勢いは好ましい。理不尽な恫喝の釣瓶打ちにズル剥け指を絆創膏で抑えて尚飛び散る血飛沫のベタな強度。脇目もふらない単線構造が新鮮。[投票(4)]
★3血祭りの朝(1990/中国)良くも悪くも優等生的であり、小綺麗にまとまっているものの、話法が妙にこなれ過ぎてて却って面白みがない。本来もっと激しく骨太で土俗的にプリミティブであって欲しかったと思わせる題材であるし、阿るだけで批評性が無いので根源的な何かを掴み損ねてる。[投票]
★3グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札(2014/仏=米=ベルギー=伊)嫁の覇権物語として反対勢力の定番・姑の不在によるドラマ力の弱さやヒッチ・カラス・オナシスが顔見せ的役回りしか担わない消化不良やドゴールとの確執に収斂させる伏線の欠如など多くの緩さを呑んで尚好ましい作品だが肝心のスピーチが内容無さすぎだよ。[投票(1)]
★5幸福(1981/日)淡々とした日常の中の幼い我が子達との或いは職場の先輩後輩同僚との一見醒めた関係の下の熱量を描いて秀逸。『犬神』以降の第2ブーム作品中のピーク。銀残しの淡彩はくぐもった都会の日常の些細な美ををアングルで切り取り異空間化する。子役が良い。[投票(2)]
★3インヒアレント・ヴァイス(2014/米)ウィルソン登壇辺りから流れを見失い気が付けば終盤だった。そういう迷宮世界の混沌に酩酊する物語だとしても、キャストの鮮度落ちの熟成が足りなく生腐りで旨み成分が出てない。天使のようなキャサリンちゃん再登場で覚醒したが物語は終わってた。[投票(1)]
★5ビッグ・リボウスキ(1998/米)コーエン的ファクターが純粋結晶として顕現し『バーンアフター』へと延伸した傑作。ゲラ笑い必至の阿呆連中の与太話の背景に横たわるベトナム由来湾岸経由の戦争後遺症的病巣が不穏な緊張を注入し続ける。その錯綜と混沌こそがアメリカだと言うかのよう。[投票(2)]