★4 | 孤独な場所で(1950/米) | 殺ったかどうかのサスペンスよりも抑制が効かない男の忸怩たる思いがクローズアップされる。唯一の理解者である長年来のマネージャーに暴力を振るった後悔はとりわけ身に沁みる。ローアングルと縦構図を適宜使うレイの演出は的確。グレアムも最高だ。 | [投票] |
★3 | さそり(2008/日) | 水野美紀を堪能するという点でかなり満足したが、アクションの見せ方が細切れ過ぎなジョー・マの演出には欲求不満もたまる。前半は一応、原『さそり』的世界が描かれるが後半は完全に『キル・ビル』もどき。大体これ日本映画なのか?吹き替え安すぎ。 | [投票] |
★4 | チネチッタで会いましょう(2023/伊=仏) | 『アメリカの夜』で始まり『8 1/2』で閉じる映画屋ナルシズム3番煎じだが、偏固イケズ爺いと化したモレッティが己の狭量を曝け出して映画内で断罪する様は可愛げあるかも。でもやっぱ俺は俺だの開き直りも。リフティングを1人延々するシーンの無為性。 | [投票] |
★4 | ゴー・ファースト 潜入捜査官(2008/仏) | 通常このジャンルで行われるであろう常套的サスペンスの醸成には制作者は殆ど関心を払わないので、平板な感が無くもないが、一方で即物的展開はドキュメンタルな興趣を呼ぶ。大したクラッシュも無いアウトバーンのカーチェイスの醒めた興奮の妙。イケてる。 | [投票] |
★3 | アッと驚く為五郎(1970/日) | 敗戦から時空が跳躍して高度成長真っ只中の70年代に雪崩れ込むあたり、アッと驚く奇譚クロニクルになり得たろうに高利貸しの因業オヤジと化した為五郎ならぬハナ肇ではまんまタイプキャストでさしてオモロくない。前田陽一あたりで見たかった題材。 | [投票] |
★3 | 少林サッカー(2001/香港) | スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝ってもアドレナリンは放出されない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して輝く。この映画は其等の点が少しずつ足りない。 | [投票] |
★4 | 雨の中の慾情(2024/日=台湾) | 妄想してる自分も又妄想であった。入れ子細工の悪夢博覧会は現実との接点が混濁していく。その様はときに蠱惑的であるがときに陳腐すれすれ。つげ世界の見世物小屋を出たらそこには戦争があった。その強引さに引き摺られるマゾヒスティックな快感はある。 | [投票(1)] |
★2 | 女と男のいる舗道(1962/仏) | 娼婦であるというリアリズムが、ドライエルを見て涙し哲学者と会話するゴダール脳内醸成された「女性」と乖離しまくる。見てて恥ずかしくなるような青臭さ横溢する似非キャラクター。カリーナ愛はけっこうにしてもジャンルを冒涜する連作の1篇。 | [投票] |
★3 | ジュブナイル(2000/日) | 終わってみれば「ドラえもん」やりたかっのかと思うわけだが、香取がいっぱしの役者に見えてしまう学芸会ジュブナイル仕様と未だ「仮面ライダー」レベルのVFXにうんざり。決定的に足りないのは可愛げで、それは真摯さと表裏なのだ。鈴木杏は良い。 | [投票] |
★4 | わが街(1991/米) | カスダン流亜アルトマン人間タペストリーは平易でストーリーテリングのテンポ良く時代と四つに組んだ衒い無さが好印象。人種問題を簡単に流して一種のスノビズムだとは思うが真摯故に鼻につかない。色々あっても広大な世界の豆粒の悩みさという達観。 | [投票] |
★2 | 憑依(2023/韓国) | 展開の新しい切り口を探すのでなく古来よりの構文を建て付けに持ってきたのはそれはそれでいいのだが、30年前のC級映画のような何の変哲もない代物を今出してくる錯誤感に眩暈がしそう。やはりナウな切り込みを幾許かは見せてほしい。魔導士凡戦の紙芝居。 | [投票] |
★3 | さまよう刃(2009/日) | 見飽きた題材を取り上げるに、こうも今更のアプローチしか出来ないのだろうか。沈鬱な好演だとは思うが竹野内の葛藤は「今」のライン上には立ててない。何時までも良識派を気どる勘違いしたマスメディアの走狗では仕方ない筈じゃないか、映画ってのはさ。 | [投票] |
★5 | リトル・ミス・サンシャイン(2006/米) | 的確でオーソドックスなアングルのショットが連鎖する快感。道中で夫・叔父・息子は各人の根も葉もない生き様に帳尻をつけさせられる。そして縋るもの断ち切られ真っ裸になった彼らの前に娘の姪の妹のピンチが到来。矢も盾もたまらずアホになる。それが家族。 | [投票] |
★3 | レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009/中国) | こうまでプラスチックでベニヤ細工の模造品を作ったジョン・ウーに或る意味尊敬の念を禁じ得ない。天気任せの戦略と勘違い女の意味無し投降と兵を退いたヘタレの葛藤無き翻意。熱くなりようもない世界ならせめて鳩出せ!トニーがマジミスキャスト。 | [投票] |
★3 | ぼくとパパ、約束の週末(2023/独) | 自閉症の子の親の視点というのが新しい。子ども本人もだが彼らも世間との軋轢に立ち向かっていかねばならない。親だって人間だし子を愛する聖人君子で常にいられるわけなく、我儘に付き合うのも夫婦喧嘩の勢いというのもリアル。スタジアムの臨場感も楽しい。 | [投票] |
★3 | ドゥームズデイ(2008/英=米=南アフリカ=独) | 『バイオハザード』な導入に『ニューヨーク1997』な序盤。ここまでは許せるが、この監督はアクション演出がもっさりし過ぎでカタルシスに至らない。都市から郊外へ展開した物語は中世風味の更なる停滞の挙げ句、絶句するカースタントへ。そりゃないぜ。 | [投票] |
★4 | ドリーム・シナリオ(2023/米=カナダ) | 夢を題材にしてるが過度な奇矯を抑え世知辛い現実世界への反映に重きを置いてる。清涼飲料とのタイアップ企画の件が佳境で即漏れ屁こきの悲哀は身に沁みる。人生良いときも悪いときもある。総和としてのプラマイは終わってみないと判らないという切ない達観。 | [投票] |
★4 | ロッキー2(1978/米) | 前作の成功を受けつつも未だ清新な気持ちを保ちつつで望んだであろう本作。どん底の寂寥感は消失したが予算は増えて終局へのカタルシスは倍加した。ファイトシーンの装置を含めた圧倒的質量感。スタローン自らの演出も予想外に過不足なきシリーズ最高作。 | [投票] |
★3 | スカーフェイス(1983/米) | 一丁やったれの成り上がり期が過ぎ出来上がってしまうと生き様の停滞と同期して物語も内向。コカイン塗れのパチーノの疲弊感が世界を閉ざす。デ・パルマ流ギミックも影を潜め限りなく凡化。序盤のコロンビア人との取引のみ腹芸と編集が噛み合い傑出。 | [投票(2)] |
★3 | 里見八犬伝(1983/日) | 改めて「八犬伝」というのは淫猥で変態な物語だと思ったが、それを脳内筋肉バカの深作がこれ又阿呆丸出しのひろ子&広之ペアに託し勘違いミュージックてんこ盛りで青春青汁したたる絵巻として繰り広げるのだ。そのアンビバレンツは結構おもろい。 | [投票] |