★4 | 地獄でなぜ悪い(2013/日) | 文字通り血の雨を降らせ、血の海を出現させる友近の過剰さに感嘆し、「言葉」の具現化にかける園子温の執着と遊び心に喝采を贈る。圧倒的な過剰さで善も悪も蹴散らし秩序を無に帰す平田(長谷川博己)に、真性の紊乱者としての園の本性が覗く快作。 [review] | [投票(7)] |
★3 | バカヤロー!2 幸せになりたい(1989/日) | また森田芳光のはからいで、CF、助監督、演劇の世界から、とりあえず4人の有望新人監督がニッポン映画界にデビューしたわけですが・・・・ [review] | [投票] |
★5 | 海街diary(2015/日) | 父性の記憶。母性の痕跡。それは、懐かしさと煩わしさとして常につきまとう。良きにつけ悪しきにつけ、その呪縛こそが人が生きている証しなのだ。ときに、人はその記憶や痕跡を安らぎの寄る辺として希求し、一方で、自力では解凍できないその束縛にあがき悩む。 [review] | [投票(4)] |
★3 | 駆込み女と駆出し男(2015/日) | 市川崑作品を思わせるスタイリッシュンな映像と流麗なカッティングのスピード感が心地よい。その分、女たちの逸話の語りが駆け足なのは痛しかゆし。満島ひかりの成りきり力演と戸田恵梨香のテレビ芝居のチグハグさもドラマに没頭できない原因かも。 | [投票(1)] |
★3 | 39 刑法第三十九条(1999/日) | ガタガタと薬をとりだす鑑定医。所狭しと料理を並べて娘の帰宅を待つ母。事務的に文書を読み上げる検事と弁護士。被疑者のまわりの日常をみごとにデフォルメする森田演出に壮絶な“藪の中”的結末を想像して肩透かしを食う。勝手に期待した私が悪いのか。 | [投票(1)] |
★4 | ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日) | 克明に再現された昭和30年代初期の空気感なしに、この一歩間違えば陳腐の極みと成りかねない定型的エピソード群を、過剰さや媚びやてらいもなく終始心地良く描き続けることは不可能だった。時代と感情が生むシンプルで幸福な調和に成功した映画。 | [投票(10)] |
★3 | 着信アリ(2003/日) | 「携帯」が死への入り口となる発想は怖いのだが、追いつめられていく切迫感がなく、仕掛けが「びっくり」のレベルで停滞し怖さが真の恐怖まで達しない。主人公の背景に説得力が欠落しており感情移入できず、日常の中の恐怖が作り話へと引けてしまうのが原因。 | [投票(2)] |
★3 | 山のあなた 徳市の恋(2008/日) | 一見、柔な風体や物腰に隠された、目開きを強く意識する徳市の気性の激しさを草なぎ剛が好演。福市(加瀬亮)との会話劇も実に楽しい。盲目者の世界をさらりと感じさる音の強弱演出もみごとで、新緑の自然の背景と相まって心地よい緊張と笑いを誘う佳作。 [review] | [投票(1)] |
★3 | ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日) | のっけの大混乱の中、怒髪天を突く鈴木社長の雄叫びに焼け野原東京へと逆戻る恐怖を見、その見事な描写にいやがおうにも期待は高まるものの、昭和30年代の意味は黙殺されてメインに据えられた茶川話しの甘さと薄さはちょっと勘弁して欲しい。 [review] | [投票(10)] |
★2 | ローレライ(2005/日) | せっかく良いモノ手に入れたんだから、未来がどうのこうのとゴタク並べてる暇があったら目の前のアメ公と真面目に戦争して欲しい。これじゃ広島、長崎の犠牲者がうかばれない。生きるか死ぬかの切羽詰まった極限の暴力が描けないなら戦争アクションなんて撮るな。 [review] | [投票(10)] |
★3 | 日本のいちばん長い日(2015/日) | 何と言っても一番の成果は中嶋しゅう怪演の東条英樹。そして、最大の失敗はこの男にヒールを背負わせ切れなかったこと。むろん東条ひとりを悪者にするには異論もあろうが、戦争を体制側から娯楽として「面白く」描くには、やはり図抜けた「狂気」が必要なのだ。 [review] | [投票(2)] |
★4 | ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(2009/日) | 妻は、ただ耐える分けではなく、献身的にふるまう分けでもない。「死」への恐怖と憧れに突き動かされる男(浅野忠信)に対し、妻(松たか子)は本能で反発するかのように「生」への衝動で行動を起こす。それは脆弱な理屈などではなく、倫理さえも超越するのだ。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 姑獲鳥の夏(2005/日) | 相変わらずの実相寺ワールド満開で安心して不穏世界が楽しめるという馴れ合い的満足感は充分ではあるものの、「見えているものが見えない」という至って反映画的テーマをどう映画として見せるかがこの作品の全てのはずなのだが何の工夫も見当たらない。 | [投票(1)] |
★4 | 孤高のメス(2010/日) | 何にも毒されぬ清らかさに満ちている。当麻(堤真一)は職務への、浪子(夏川結衣)は想いへの、武井(余貴美子)は願いへの従順を貫く。偉業への挑戦は爽快を生むが、職務や思いへの忠実さには清廉が滲む。そして、本当に賞賛すべきことの本質が垣間見える。 [review] | [投票(3)] |
★3 | DRIVE(2001/日) | 解釈の隙を与えない超ド級の疾走感で圧倒した今までに比べて、ストーリーに意味を持たせた分だけパワーダウン。絶妙な間のセンスは相変わらず非凡だけど、それだけでは許されないのがこの監督のつらいところ。正念場を迎えたSABU、試行錯誤の一本。 | [投票] |
★3 | クライマーズ・ハイ(2008/日) | 突如起こった大事故が、停滞した地方新聞社に覚醒を引き起こす。呼び覚まされたのは使命感とその裏に潜む虚栄心。そして、過去の誇りという名の化石化したもうひとつの虚栄心。社会的使命と人間的欲望が二転三転しながら、妬みあい、怒鳴りあうさまが心地よい。 [review] | [投票(8)] |
★4 | MONDAY(1999/日) | 『タクシードライバー』から23年。1999年に現れたトラビスは、もう意思など持たない。自らの運命線を笑い飛ばし、酔いの中を彷徨うだけ。 | [投票(1)] |