大英帝国時代、国内では身分もソコソコ、このままじゃ一生うだつが上がらなさそうな＆一旗揚げたいワカモノは、全て植民地を目指した。 ソコでは夢のような「自己実現」やひょっとしたら一山当てて王侯貴族のような生活や振る舞いも出来そうだった（実際にやっている人も沢山居た）からだ。

さて、このロレンス君は私生児である。軍隊での地位もソコソコ。とりあえず、心躍る冒険にこの身を捧げてみたいアブナイコトしてみたい！な血気盛んなワカモノである。

「自分を痛みに耐える身体に鍛えるのだ」なんて言いながら一人根性焼きの練習を日々繰り返すような無邪気な男でもある。 その「冒険したい」「一旗揚げたい」「できれば英雄なんかにナッテみたい」と思った若者が自分の生来持っていた誇大妄想気味の資質とあいまって「アラブ連合」の夢にその身を捧げて失望し、尻尾蒔いて故郷に逃げ帰る物語である。コレって。

最初は「なんでこんなに主人公がホモ臭いのだろう？」といぶかしく思っていたが、ラストまで見て納得。 いくら本人に「男好き」な資質があっても、敵軍から寄ってたかってレイプされるというのはモノスゴイ傷になって残るという話であった。

確かに滔々と語られる砂漠の風景や豪華で監督の意志が隅々まで行き届いたモブシーンは素晴らしいが、アラブ人が「まるっきりバカ」みたいに描かれているのや主人公のロレンスの「レイプ恨めしや」の表情を見ていると何処にも見ているワシのココロの寄せる場所が無くて、困ってしまう。 とりあえず、美しい大海のような砂漠とソコを渡る小舟のようなラクダにでもココロを寄せておく。