[コメント] サイン(2002/米)
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様々なサインの意味(理由)が明らかになるラストの衝撃と感動。それまで張られた伏線に気付く。主人公が突然目覚め、ミステリー・サークルを発見、その後のバットも、水も、本も、“天使”のような(!)娘が票を変えたのも、全ては幸せを見失った男と家族が絆を取り戻すための、神によるサインだった。それもただ“驚き”というだけでなく、神の存在を示すことによって、大きく映されたメル・ギブソンの姿の後ろに、彼の背負ってきた悲しみとこの世の奥深さ、神秘を感じさせる。そしてついに訪れた精神と信仰の再生。“神”が効果的に作用した珍しい例。素晴らしい。
またシャマランが丹念に積み重ねていくホラー/スリラーの正統的演出も見事。実体を見せず物音によって表現する恐怖、ヒッチコック風の演出、そして随所に散りばめたユーモアによる「恐怖(緊張)と安心(緩和)」の図式。
それらは「鳥」「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「エクソシスト」などを思い起こさせるが、その感動の種類は「ポルターガイスト」的なものであった。
襲い掛かる恐怖(超常現象)を前にして表れる家族愛。人間を強調するところがこの監督の個性だろうと思う。丹念に人間を描くことによって、B級っぽいネタから真の感動が生まれた。(“人間”をちゃんと描かないと“神”が生きてこない、というのもある) またこの監督の要求に最高の演技で応えた役者陣も称賛に値する。彼らなくしては傑作となり得なかった、と言っても過言ではないと思う。
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