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[コメント] 死霊のはらわた(1981/米)

「描きたいもの」ではなく「やりたいこと」だけで暴走する「作家」サム・ライミ。いえ〜い!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







こういう人を「作家」と言えるのは映画監督だけだと思う。小説家とか画家とかだとそうはいかない。

20周年アニバーサリーのリバイバル上映で初めて観る。これを観ずにサム・ライミは語れまい。故に私はサム・ライミファンを公言せずに今日まできた。そして遂に(そしてスクリーンで)本作を観ることができたのだ(II は未だ観てないけど)。なんと喜ばしい。ここで私は声を大にして言いたい。20周年を記念するほどの映画かっ!(^_^ ;

正直、20年後の今、鑑賞に耐えうる作品だとは思えない。だが、映画館ではらわたがよじれるほど笑ったのは事実だし、間違いなくこれがサム・ライミの原点なのだ。サザンオールスターズの「勝手にシンドバット」なのだ。椎名林檎の「歌舞伎町の女王」なのだ(原点とは必ずしもデビュー作とは限らないというのが私の持論)。

なんにせよ、話なんかどうでもいいけど「どう?どう?こんなの楽しいでしょ?」ってのがここにはある。いや、もうそれしかない。後に作られる『クイック&デッド』なんか典型的。多少の辻褄なんかどうでもいいの。穴掘って死んだ彼女を埋めようって時だって、ブルース・キャンベルが気配を感じて振り返ると悪霊の彼女が死んだフリするんだよ。どうせ襲うんじゃねーか、なんでわざわざ死んだフリする必要あるんだよ!もう大好き。なんだよ時計の振り子越しショットって!もう大好き。

えーっとね、えーっとね、私が大爆笑したのは、お得意の「目線カメラ」でガーッと悪霊が迫ってきて、これまた定番のドアが開かない!鍵が取れない!ってなことやってなんとか室内に逃げ込むでしょ、そうすると鼻先でドアを閉められた「目線カメラ」がスゴスゴと引き下がる所。オイオイ、お前悪霊なんだろ!なんて気弱なんだ!

なんだか悪霊がやたらお茶目だ。中盤なんかあっちでもこっちでもワーワーギャーギャー「悪霊祭りかっ!」ってもんで、やたら可笑しい。もう大好き。まあ、そういうわけで、この映画は『死霊のはらわた』というより『サム・ライミのはらの内』という映画なのだろう。

(評価:★5)

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