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[コメント] SUPER 8 スーパーエイト(2011/米)

もし私がこの物語の子供たちと同世代だったなら、☆5どころか千点以上付けても惜しくはない。児童向けモンスター映画としては過去最高級の出来だろう。しかしそれ故に満点を付けるのが躊躇われる「甘さ」もある。4点か5点で迷ったが・・・
赤い戦車

**ネタバレ注意**
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様々なジャンルを内包した構造やモンスターを見せずに引っ張る巧さ、際立った音響(本当にびびる。凄い)など、数多い美点を持つ。伏線の張り方も素晴らしい。ラストの「ペンダント」には思わず涙腺を刺激されてしまった。

前作『スター・トレック』で発揮されたJ・J・エイブラムスの光使いも健在だ。クライマックスで宇宙船が飛び立つ際のCGに代表されるように、彼の光使いは抜群に美しい。CGでここまでの情感を映像に込める事ができるセンスはハリウッド中でも随一のものだ。このセンスこそが、他の映画監督とエイブラムスとを、明確に区別する強みといえる。

次に、上記の「甘さ」について。それが最も端的に表れているのは、異星人が洞窟内で子供たちを見逃す場面だ。見逃す理由は要約すれば「故郷に帰りたい自分の気持ちを子供たちが理解し、共感してくれたから」という非常に単純なもの。この単純さは子供なら何も疑問に思わないだろうが・・・私はここで一旦映画の魔法が醒めそうになり、立て直しに苦労した。割と恐怖・グロ描写にも力を入れてたりするのに、肝心な場面でこういう「甘さ」がちらほら出てきてちょっといただけない。

ここまでを考慮すれば4点だが、ただし、子役の良さはそれを補って余りあると思う。特に主役のジョエル・コートニーには瞠目した。彼の眼差し、表情の素晴らしさときたら!全てのクローズアップで情感のある良い顔をしていた。全くの新人とは思えない。もちろん監督役のライリー・グリフィスに矯正器付きのライアン・リーだって良いし、エル・ファニングにいたっては称賛されて当然だが、それでもコートニーの演技こそがこの映画の最も重要な柱であることは間違いない。彼がいなければ本作からどれだけのものが失われただろうか。

以上の全ての点を踏まえ大甘採点で☆5に。なんだかんだで時間を忘れるほど楽しんだのは間違いないのです。エイブラムス監督には今後も期待したいと思います。

追記1:生物の教師があの大事故で生き残ったのが一番の奇跡だわ

追記2:パンフによれば、劇中劇の「The Case」は子役たちが考えたストーリーをそのまま採用したものらしい。子供たちはみんなホラーが大好きなんだなあ。にしても「ロメロ」化学って露骨な(笑)

(評価:★5)

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