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[コメント] 3時10分、決断のとき(2007/米)

な、泣きついた…! この映画、気に入った!
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







(オリジナルを観ていない者が、リメイクであることを度外視して語る御託と思ってご容赦を)

一見、馬鹿みたいなクライマックスだ。ウェイド(ラッセル・クロウ)は何を、自分を監獄行きの列車に乗せようとしている駄目男ダン(クリスチャン・ベール)の片棒担いで、自分を助けに来た手下から逃げて、挙句に皆殺しにしてまで、わざわざ自分から監獄行きの列車に乗っちゃうのか。

でも、そこはエルモア・レナード原作。何とも言えない説得力があります。

もはや昨今のアメリカ映画のはやりですが、何が正しくて何が間違っているのかわからない世相とそれぞれの主張が、絶え間ない会話の泉により綴られていく中、誰もが心に負を抱え、悪を宿す。それでいて良心のかけらを垣間見せるごとに、利害関係も敵味方も超えた人と人との心の交わりが生まれていきます。

ジェームズ・マンゴールドは、『コップランド』の頃から変わらないモチーフを持ち続けてきて、結実させた感があります。

ていうか、こんな駄目なおとうちゃんだけれども…って、息子の前で「俺がやる!」と啖呵きったところもめちゃ泣けるんですが、それがしまいにゃカタキに泣きついちゃったよ――なんと愛すべき人間模様!

でも辛いようで甘い、甘いようで苦いのがレナードテイストなのか、お父ちゃんはきっちり召されてしまいます。それを見取った息子は、いったんウェイドに銃を向けながら、でも最後は父が教えた通り下ろします。これを受けたウェイドは、自ら列車に乗ります(逃げるんだけど)。

男が矜持を曲げずに決裂して果てていく往年のマッチョ映画もいいんですが、こうして互いに解り合って変わっちゃうというのが、この映画では美徳になっているように思えました(チャーリーが哀れなんだけれども)。

(評価:★4)

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