コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ストリート・オブ・ファイヤー(1984/米)

これを“格好良い”と言っていた時代は確かにあった。それを否定することは出来ない。それに、今観直しても、やっぱり格好良いと思える自分がいる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これは思い出の作品だ。

 ビデオがまだ貴重だった高校時代。家にビデオが入って真っ先にこの作品を買った奴がいた。それで「上映会」と称し、放課後、これを観るためにみんなで集まった。私も友人に引っ張られるように、その男の部屋に初めてお邪魔した。

 その部屋はタバコ臭かった。何人かは部屋にはいるとすぐに制服のポケットからタバコの箱を取り出す。そんな中で知った作品だった。

 あれから既に15年。一生吸うまいと思っていたタバコを自分自身が吸うようになってからも随分と時が経ち、再び私はこの作品と出会った。

 高校時代の下らない、そして当時は本気だった様々な思い出を胸に、口にはタバコを銜えてビデオで久々にこの作品を観た。

 観ていると様々な思い出が湧き上がってくる。しかし、やはり随分私も歳を経、その分冷静に作品を観ている。

 やはり、今観てみると昔臭さに溢れてる。出来過ぎの物語。どう見てもおかしい町の様子(ロック・コンサートの会場だけあれだけの人がいながら、普通の町は廃墟と思えるほどに生活臭が感じられないとか)。派手なだけでリアリティのない爆発シーン(炸薬が使えないショットガンであんな爆発するか!大体「バイクを撃つ」と言いつつ中距離から散弾ぶちかますトムの神経も恐ろしい)。クサい会話。などなど。

 でも、冷静にそれを観ている自分がいる一方、やはり高校時代にこれに惹かれたように、今でも彼らの姿を格好良いと思って、「それで許す」と思っている自分がいる。そうだ。これこそが映画の本質なのかも知れない。私にとっては今でもこの映画は快楽装置として充分に機能している。

 パレ演じるトムの姿は最初こそ浮いて見えるが、無表情な態度を崩さないままでいたためか、後半になると、ぐんっと格好良さを増す。それになにより、デフォーの格好良さよ。むしろ彼の姿にこそ惚れた当時を鮮烈に思い出す(未だにファンだよ)。この二人のハンマーでの対決シーンはゾクゾクするよ。

 強い感情を秘めつつも、それを意地で押さえ込むトムの姿。最近ではすっかり廃れてしまったその姿こそが当時の“格好良さ”の基準であり、未だにそれは格好良く見えたし、最後のコンサートシーンはとにかく感動ものだった。

 良いじゃないか。こういう“格好良い”映画が今でも残っていたって。こうやってノスタルジーに浸り込むことが出来る作品なんて、とても貴重だ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (7 人)yasuyon ピロちゃんきゅ〜[*] みか[*] takamari[*] ごう[*] ナム太郎[*] kiona[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。