これはスカした顔してコメディやってるなんて問題じゃないと思う。肝心の中身がいいかげん。何も信じるに足りない。映像も観客の意識に刷り込む事しか考えてないと思う（サブリミナルつかわなくてもサブリミナル的）。肝心の人格分裂の説明も、全てヒトリゴトってことで済まそうとしてるし。そんなところにサラっとシャープなイメージ映像を挿入されても、逃げの手段になっちゃってるとしか思えない。観客の目を眩ますことばっか考えて中身がおろそかになってるのか、中身に自信が持ちきれないから逃げ回ってるのか・・・いずれにせよ甚だ観客をナメてる態度だと言わざるを得ない。この監督の意識下には、観客の正視に対する極度の恐れがあるような気がしてならない。

そんな感じなんで、ファイティング・シーンとか（かなり破綻している）暴力的な主張とかの過剰さも、弱さゆえの虚勢なんではないかと疑ってみたくもなる。何しろ所詮全部「逃避」で片がつくものなんだから、そんな程度のもんだったら過剰に盛り込まないで欲しい。だいたい「死」の手前で止めることを前提としていきまいてる連中の保守性からして茶番意外の何モノでもないのだから（死に至っちゃうと笑い事では済まされないかもしれないが）、必要以上にカッコ良くスタイリッシュな映像で見せないでくれと言いたい。あ、でも原作あるんでしたっけ？どーも監督の姿勢とダブって見えてしまって・・・。

個人レベルのちっぽけなお話を壮大に膨らませること自体はキラいではない。ただその場合お話自体に思い入れやこだわりがあって初めて妄想が肥大していくのだと思う。それ以上は言いませんが、そこらへんをいま一度この監督には考えて頂きたい。