[コメント] 北北西に進路を取れ(1959/米)
これだけ面白ければもう何も文句はありません。ヒッチコックの欲望が剥き出しの映画。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ヒッチコック映画における彼の欲望、という観点からは「金髪女性」について触れられることが多いが、この『北北西に進路を取れ』はむしろ「ケイリー・グラントにこんなことさせたら面白いだろーなあ」という欲望だけで成立したフィルムだと云うことができるだろう。泥酔しながら車を運転するグラント。農薬散布機に追っかけられて全力疾走するグラント。美女に裏切られたと思い込んでムキになるグラント。オークション会場で無茶をするグラント。ラシュモア山のモニュメントで宙吊りになるグラント。急行の寝台に引き上げたエヴァ・マリー・セイントに「Come along, Mrs. Thornhill」と呼びかけるというド級のキザをかますグラント。
このシナリオとヒッチコックの演出力をもってすれば誰が演じようが傑作になったとも思われるが、しかしグラントでなければこの破格の面白さは生まれなかっただろう。実際、ロジャー・ソーンヒル役はジェームズ・スチュワートが熱望し、MGMはグレゴリー・ペックの出演を望んだにもかかわらず、ヒッチコックはグラントに固執して彼の起用を決定したそうだ。云うまでもなく、これはヒッチコックが正しい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (7 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。